走れ!ここは羽田空港

・・・やらかしてしまった・・
ええ、ただ今実家に帰ってきております。JTAの深夜便に乗って帰ってきたわけでやンス。
今日は西方たちのサッカーチームを見に行ったら、普通にムッシュや竜がプレーしててまじびびった。俺もやりたかった?。
で、それを見た後で家に帰り、帰省の仕度を整えて、重い鞄を引きずって羽田空港に向かったわけなんス。
飛行機の出発時刻は”10時30分”。
俺は飛行機が深夜便だと聞いて、超わくわくしていた。だって、もし月が満月だったのなら、おそらく窓から月世界が見えるかもしれないと思ったからだ。今日がどんな月だったのかは分からないんだけど、大当たりだったのなら、とても幻想的な光景を窓の外に見ながらの帰省ができるかもしれない。これは素晴らしい事だ。
俺は千葉から羽田行きの直行バスに乗った。ついたのは大体7時ごろ。なるべく早めにチケットを取ったので、そのままゲートに向かって待っていてもいいなと思ったんだけど、その前にどうしても本屋にいきたくなって、空港一階の書店のマンガコーナーを立ち寄った。
すると、そこで、今までめちゃくちゃ読みたかったマンガが置いてあるのを発見。
『逆境ナイン』!
めちゃくちゃ熱い!そして面白い!
特にびびったのがこの台詞・・・。
主人公:不屈闘志「いいか!明日の決勝の対戦相手は所詮おれたちと同じ人間なんだ!おれたちなら倒せる!」
監督「でも闘志・・・世の中には『井の中の蛙、大海を知らず』という言葉もあるのよ」
闘志「確かにそうです。そして挫折していった者も多い・・・。しかし、その中には世界に
通用した蛙も居たはずだ!!そんな腰抜けの先祖が作った言葉等気にするな!!!!」
たしかに・・・・!なんて、熱い言葉なんだ!すげ?燃えるぜ!井戸の外など見えてなくていいから、強気で行こうぜ!
その時俺のケータイに着信アリ。
番号は東京03の知らないやつだった。家庭教師だろうか・・・?
俺「はい、もしもし・・」
女性「あ、山里さんでいらっしゃいますか?」
俺「はい、そうですが」
女性「あの私JTAの○○という者なんですが、失礼ですが今どちらにおられますか?」
俺「あ、今羽田空港の一階の方にいるんですけど。」
女性「あの・・実は当機はいま残す所山里さんを待つのみとなっているんですけど・・」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・はあ!?
恐ろしい予感が過った俺はチケットを確認した。
すると、何と、俺の飛行機の出発予定時刻は10時30分ではなくて、20時30分だったのだ!!
俺は『20時』という文字を見ても「深夜便」という言葉が頭の中にこびり着いてしまっていて、かってに10時と翻訳してしまっていたのだ。なんて事だ!!
時計をみた。するともうすでに36分・・。6分も過ぎている!!
俺は井戸の周りどころか、今の自分の状況すら理解してなかったのだ!
俺は気狂いのように鞄を持ってエスカレーターを書け登り、ゲートに突進した。
ゲートの人も俺のチケットを見てびびってた。しかしだからといって、持ち物検査をおろそかにするわけにはいかない。俺はポケットから、財布と鍵とケータイを大急ぎでトレーにだし、荷物もベルトコンベアに乗せて、そのまま金属探知機を通過した。
ピ?????!!
この音で、こんなに焦った事は無い。このせいで俺はぞうりを再検査の為に没収され、ベルトもはずし、再び通過。今度は鳴らなかった!ぞうりを急いではきなおす。
女性職員「急いで下さい!こっちです!」
男性職員「この荷物は私が運びます!」
女性職員が俺のチケットと、トランシーバーを握ったまま、猛然と歩行用のベルトコンベアの上を走り出した!
俺もその後を、両手に財布やらベルトやら鍵やらを抱えて走り出す。その後ろに、俺の重い鞄を抱えた男性職員がついてくる!
もちろん他の客は驚いて、おれたち三人をじろじろ見たりした。
なんだこのシチュエーション!まるで、エスコート付きの聖火ランナーじゃ無いか!!
途中で、別のトランシーバーを持った女性職員が泣きそうな顔で走ってきた。今まで、エスコートしてきた女性から、まるでバトンの受け渡しのように俺のチケットを受け取ると、そのままさっきの1.5倍ぐらいの、ほぼダッシュに近いスピードで走り出した。
その鬼気迫る走りっぷりに、自分のやらかした事の重大さを再び認識・・・。こわい!
そのまま何とか飛行機に間に合い、席に座る事が出来た。
飛行機は、満員だった。
他の乗客はもうすでにシートベルト迄つけて、今か今かと出発を待っている様子だった。
俺、一人で何百人分の脚を遅らせたんだろうと思うとゾッとした。だって、最終便がおくれるっていう事は、沖縄のモノレールの終電を逃すかもしれないって事なわけでしょ・・・。
ひ????!!!
出発前アナウンスが流れた。
『・・なお、当機への機材搬入の遅れの為、出発予定時刻に大幅な遅れがでた事を、心よりおわび申し上げます・・・』
『機材搬入』など、大嘘だって事は明白だ。もしそうなら、あの女性職員は泣きそうな顔で走ってくる事等無いはずだからだ。
結局、予定より30分遅れての出発となった。
うぐぐぐ・・・・肩身が狭い・・・・・