ウークイの夜

お盆最終日、ウークイ。二日前に迎えた先祖をあの世に帰す日。
また親戚が集まるので、五時ぐらいには島袋のじーちゃんちについた。
まだ時間があったので、二階(去年ずんとザッキーが寝た部屋)で俺は来月に撮る予定の作品の脚本を書いていた。この前から書き始めているんだけど、もうぜんぜん進まなくて、かなり焦っている。このときも思うようにかけなくて、むかむかしていた。
そのとき、下の階からわいわいやってくる声が・・・。
ミサキとユメミの姉妹だ。
ミサキは中学三年生、ユメミは中学一年生。俺は二人がはたして仲がいいのか悪いのかわからない・・。いつも文句言ってばかり。でもはたから見てるとなかなか面白い。
俺は脚本を見られたくなかったので、急いで隠す。すると・・・
ミサキ「なにかいてんの?」
俺「おれ?レポート書いてる。今忙しいんだよ」
ミサキ「じゃあミサキが書くよ。マサキ兄ちゃん何書くか言って」
なっ・・・・!
ユメミ「お前字書くの遅いだろ」
俺「それに俺八月の終わりまでに書けばいいから大丈夫だよ」
ユメミ「あれ?マサキ兄ちゃん忙しいんじゃないの?」
うっ・・・・・
俺は話をそらすため、別の話題を考えた。
しかし、なかなか話題が見つからない。それもそのはず・・考えてみれば、彼女らとは八歳差と十歳差だ。ただでさえ口下手な俺に戦える相手ではない。俺の話題では会話はすぐ途絶え、逆に終止彼女らにペースを握られて、俺はてんてこ舞いになった。
しばらくして、親戚で卓を囲んでご飯を食べた。出前のシースー。美味なり。
満腹になったところで、おばさんとかおじさんたちと幽霊のはなしになった。お盆だしね。
で、俺が恐怖の研究とか書いてるにもかかわらず「幽霊なんていないよ?」とか言ってたら、おばさんが、「でもあたし幽霊見たことあるよ」といってきた。 
それによると・・・
おばさんが六歳ぐらいのころ・・家族でじいちゃんの妹の遺骨を捜しに、どこかの山に行ったことがあるそうだ。
じいちゃんの妹は戦後まもないころ、脳膜炎という病気によってなくなった。だいたい小学校一年から三年ぐらいだったそうだ。で、いろいろな事情で、じいちゃんは妹の遺体を火葬にもできず、借りの埋葬をした。遺体にかぶせた土の上に、コンクリートの石を置き、釘で命日を彫って、いつかまたちゃんと墓に入れてやると誓った。
しかし、その後じいちゃんは教師になり、那覇市に移って忙しい日々をすごし、20年の歳月が流れた。いつも、山の中に残してきた妹のことが気になって仕方なかったそうだ。
おばさんが六歳になったころ、ついに、家族みんなで妹の骨を捜しに行く機会が訪れた。
20年ぶりに訪れたその場所はずいぶん変わっていた。
コンクリートで作った見印は見つからず、いたるところを掘り返しても見つからなかった。おまけにその日は炎天下で、どうしようもない暑さ。もうほんとに大変だった。
どんなに心当たりのあるところを掘っても見つからないし、子供たちもねをあげ始めたので、とうとうじいちゃんはあきらめて、失意の中、家に帰ることにした。
そのときだった。おばさんがふと茂みのところを見ると・・・・
小さな女の子が立っている・・・・。
それは小学生ぐらいの小さな女の子だった。その女の子は指を指すともなく、地面のある場所を示した・・・・。
そこは、草の多い茂った、まだ一度もチェックしていない場所だった。
おばさんはじいちゃんにその場所を伝えた。もう帰ろうと思っていたんだけど、あんまりおばさんがいうので、調べてみることにした。
すると・・・なんと草の中にコンクリートのしるしがあるではないか。
おばさん「その人は今はこの位牌にいるんだよ」
は??・・・・
20年も待っている気分てどうだったんだろう・・・。
とにかく見つけられて本当によかった・・・。
俺はなんかしんみりした気分で霊の追い出し(?)に参加した。線香の煙が夜空に昇っていく。また、来年も帰ってきてほしいな・・