先週はずっと奥さんの実家のある東京の西側で過ごしていた。都会と比べてとても静かで空気もよく、少し歩くと、多摩川の流れる自然豊かな公園もあって、とても気持ちが良かった。息をしているだけで気持ちがいい。都心ではこんなの絶対ない。
とはいえ、僕は相変わらず奥さんの実家の部屋に篭ってずっと作業していた。今抱えていることをひたすら机に向かってペンを動かすんだけど、窓をあけると鳥や虫の鳴き声、川の流れ、いろんな自然の音が溢れ、これが集中力を高めてくれて、クライアントさんとのやり取りもほとんどネットと電話で済ませられるし、本当にこの仕事はどこでもできていいなあと思った。
ところで、この間ちょっとした事件があった。
夕方作業中をしていると、バラバラバラというものすごく大きな音が鳴り響き出した。何なんだろうと思って外に出ると、ちょうど川が流れているところにヘリコプターが。
どうやら近所の川で人が流されたらしく、その救命をしているようだ。翌日ニュースで見たところ、流された大学生は亡くなってしまったらしい。
正直川は濁流だったし、増水もしていて、どう考えてもこんな時に泳いだりするのはダメだと思うんだけど、それは置いといて、こういう時に泳ごうとしてしまうのも人間っぽいよなあとも思ってしまう。
濁流に飲み込まれた後の苦しみへの恐怖よりも、危険と安全を隔てる薄い堤防の上を、全力で走ることへの誘惑に負けてしまう人間の愚かさ。
なにかで、人はスリルを味わうことで、脳内に何かしらのホルモンが分泌され、それが脳内麻薬になってしまい、再びそのスリルを味わいたくなると聞いたことがある。でもそれだけでなく、ある種の危険な行為は、それをすること自体がなぜか魅力的に感じてしまうことがある。それが本当に不思議だ。
進化の事を考えると、普通本能的にそういう危険から遠ざかりたいと思いそうだけどね。僕はそういう意味でジェットコースター無理。動物でも、生き残ること以外の目的で、あえて危険を楽しんで犯すような生物っているんだろうか。
とかそんなことを考えている時に小さい羽虫が電球にひたすらぶつかっているのを見る。
意外と彼らもそういうスリルを味わうためにぶつかっているのかもしれない。