節分パーティー後編

(中編の続き)
恵方巻の次は、『お面』である。


モモヨット「お面は、みんなで鬼のお面を作ります」
そして、どこからともなくその材料と道具を取り出してきた。出てきたのは、工作用厚紙と習字の半紙、画用紙。カッターナイフもあったと思う。
なるほど、それで誰が一番いいお面を作れるか競うってことか。
きわめてデザ工的・・・。
話を聞いていると、このお面をつけて次の競技の鬼ごっこをやるそうだ。超恥ずかしそう。これは一つウケるやつか、カッコいいお面を作りたいところだ。
モモヨット「じゃあ、初め!」
いったい何分あるのかよくわからなかったんだけど、とりあえず画用紙とペンを持って席に着いた。さあ、何を作ろうか・・・。
俺は清水先生の似顔絵を書くのが得意だったので、先生のお面を作る事にした。まあ、これでウケはとれるっしょ。先生は鬼じゃないけど、お面のどこかに「鬼」って書いとけば、大丈夫なはずだ。
荒谷さん「ねー鬼のお面のどういうところを評価するの?」
モモヨット「え?何にしようか。怖さとかにする?」
なに!?
怖さを競う、だって!?俺の超得意範囲じゃん!
俺は無類のホラー好き。ここで負けるわけにはいかんぜ!
清水先生の似顔絵を描いた俺は、先生の髪を黒く塗り、肌を白いままにした。貞子と同じコントラスト。さらに目をくりぬいて、覗き穴をあけた。実際やって見たら、まるで先生の死に顔見たいな無気味なお面が出来きた。やばい、こりゃ来たぜ!!
モモヨット「あ、コンセプトを立てなきゃ」
?コンセプト?
荒谷「怖さをデザインするっていいねー」
モモヨット「でも何をすれば怖いんだろ。サブコンセプトを・・・・」
サブコンセプト!?
ええ?なになに?なんで難しい事言ってるの!?
そうだった、ここはデザ工じゃないっすか!
よく見るとシンタロウはなんかお面を立体的にするよう色々工夫しているし、荒谷さんはスケッチブックにいっぱいデザイン案を書き込んでいる。モモヨットもコンセプトからせめてるなんて・・・
モモヨット「とりあえず目をいっぱい書いたら怖いよね」
・・・・は?それだけ!?
見るとモモヨットは鬼のお面にめちゃくちゃいっぱい目玉を書き込んでいる。めちゃくちゃ気持ち悪い。
モモヨット「え?・・・自分の嫌な物を書き込めばいいのかな・・・」
モモヨットのお面は凄い事になりそうだったので、なるべく見ないで自分のお面に専念する事にした。皆必死だ。
その時、モモヨットが時計を見た。
モモヨット「あ、ヤバい!後十分だ!」
なに!?もうそんな時間!?
っていうか、俺最初っから何分以内で作るのか知らなかったんだけど!
荒谷「ええー!?ちょっと早すぎだよ?!」
モモヨット「えーでも後十分で終わらないと鬼ごっこできないよ。ゼミまで時間ないし」
そう、これはゼミの直前に行われているパーティーなのである。
ゆやまん「でもまだ二時半だよ?ゼミまでまだ全然時間あんじゃん」
そうだ、考えてみればまだ一時間半以上もある。全然余裕で鬼ごっこも出来るはずだ。
モモヨット「え?時間無いよ?。鬼ごっこ100分出来なくなるよ。」
100分と言うと、小学校の休み時間の二倍の長さ以上ある。
なっ!!
俺「鬼ごっこ100分やるつもりだったのかよ!」
モモヨット「鬼ごっこ延々とやるんじゃないの!?」
結局四十分以上締め切り時間が延びて、プレゼンタイムになった。良かった人に点数をつけていく。順位の付け方までデザ工である。
一位はやっぱりモモヨットだった。ヤツのお面はヤバかった。
彼女のお面は、後ろの方に白いビニール袋が着いており、それに頭を突っ込んでお面をかぶる。しかも、ビニール袋の頭のちょうど後ろの部分に当たる面にも、もう一つの目ん玉がいっぱいの顔が書かれているのだ。
モモヨット「このお面、リバーシブル」
そういうと、モモヨットはお面を前後逆にした。そこにはビニール袋の顔が。
しかし、悲しい事にビニール袋から透けているのだ、モモヨットの顔が。
圧倒的。
結局時間の都合上、鬼ごっこは開催されなかった。ここまではモモヨットが総合得点でダントツの一位だった。しかし彼女は、次の二階から豆まきで突如発生した、バラエティー番組にある今までの得点シカトの点数配分のせいで、一気にビリに転落してしまった。
『二階から豆』とは、二階から投げられた豆を口でキャッチするというヤツだった。
いかに超人モモヨットであろうとも、乙女だったのである。与えられた餌にむさぼりつく池の鯉みたいな行動など、人前で出来るはずがない。(追記:後でゆやまんが撮った写真を見直したら、やっぱり猛獣だった)
いつの間にか、罰ゲームが設定されていた。罰ゲームは鬼のお面で、コンビニで肉まんを買いにいくというもの。罰ゲームの対象はモモヨットとブービーのゆやまん。
二人は実に堂々としていた。


↑左からモモヨット、ゆやまん
モモヨット「肉まんと、チョコまんと・・・」


ミッション終了後、ゆやまんが店からでて来た。
ゆやまん「段差が見えにくかった」
クールな彼女らしい感想。
彼女らの度胸に乾杯。
(長かった・・・!)