顔を巡る冒険

やる事が全然進んでいないのにブログを書くのは気がひけるけど、手短に。


最近・・・ていうか、前から、俺は普通の状態の時の表情がいつも険しい時が多いんじゃないかと思う。
高校のハンドボール部の時、新しく入って来た新一年生たちが、俺の正体(?)を知るまで、かなり恐ろしい先輩だと思っていたらしい。
大学でも、サークルの後輩の世良が俺の事をクールな人と勘違いしていたそうだ(それを聞いた周りの人が全力で否定)。
それは多分みんなと話している時、俺はあまり気の利いた事を言えるタイプの人じゃないから黙り込んじゃって、それでしかめっ面っぽくなっているからだと思う。
とにかく、人と話すのが苦手だ。
それは、千葉に出て来てからいっそうひどくなった。
そして、この事は、小学校のときぐらいからコンプレックスだったわけで、簡単には治らないに違いない。
じゃあ、せめて、聞くときぐらい笑顔を作ろうぜと。
知り合いに会ったときぐらい、笑顔を作ろうぜと。そう思ったわけです。
でもな?・・・・・
俺、笑顔もすごい苦手なんだよ!!
ほんとに苦手。
小学校の写真があれば見せたいぐらい。
無理矢理笑顔を作ろうとすると、マジで顔面の筋肉が混乱する。
高校の卒業アルバムも死亡。
ちゃんぷるで飯食ってる時、常連さんから
「わらわなきゃいい感じなのにね」
と言われたときは、どう反応したらいいのかわからなかった。
ここでどんなふうに嫌なのかというのはあえて書かないけど、まあ、ようはコンプレックスなんすよ。
ところが、ある日、ある芸能人は時間さえあれば鏡の前で笑顔の練習をしているんだ、ってことを雑誌で読んだ。
なに!?笑顔も練習しなきゃいけないものなのか!?
考えてみれば、身の回りの中で、ちゃんと練習しなければ身に付かないものは多い。
自転車や一輪車はもちろんの事、鉛筆の持ち方や、お箸、さらには二足歩行だって幼いときに練習している。
で、特に鉛筆の持ち方やお箸に関しては、その道具を使って目的を達成するという意味で、その使い方を身につけるのが簡単なだけに、ものすごく自己流の人が多い。
しかし、自己流だと、本来模範とされている持ち方の持つ美しさは、やはりある程度そがれてしまう。
で、笑顔の作り方もきっとその類いに属されるんだろう、と思った。
笑顔も、練習次第では、その人が持つ最大の魅力を引き出す事が出来るようになるに違いない・・・!
そして、今日。
今取り組んでいる事になかなか集中できずイライラしていると、会う人みんなに無愛想な顔をしている事に気がついてしまった。
ばかめ、こんな時こそ、“人に優しく、みんなに笑顔”だろうが・・・・!!
俺はトイレに直行。
鏡の前に立ち、すっかりストレスで硬直した顔面の筋肉を手で揉みながらほぐす。
そして、無理矢理笑顔を作る。
(もう少し歯茎を隠した方がいいかもしれん)
とか思いながら、筋肉のパーツを微調整。
うお!!なかなかいいではないか!!
しかし、無意識のうちにこの笑顔が作れるようにならないと、全く意味がない。
でないと、ただの作り笑いだ。
そこで、瞬時にこの笑顔を作れるように何回も鏡の前で練習した。
素の顔から・・・・・・・・チェンジ!!
素の顔から・・・・・・・・チェンジ!!
なかなかいい。
これを何回も繰り返せば、きっと脳の中の笑顔を作る回路がうまい具合に開発されて、無意識で作り出せるようになるに違いない!
素の顔から・・・・・・・
その瞬間、ドアの入り口が開いた。
素!!
俺は急いで素の顔に戻した。
・・・・・・・・・
入って来た人は、特に何の反応も見せず、そのまま奥に歩いていった。
俺は、何食わぬ顔でトイレから出る事に成功。
・・・・・・・
・・ううおおおおおお!!すげーーーーーー!!!
あっぶねーーーー!!
間一髪!!
いま、素の顔から素って、そのままじゃん!
笑顔にしたいところを・・・・良く耐えた!!
俺は、この些細なアドベンチャーにすっかり興奮してしまった。
なんか、この世がとても楽しく思えて来た。
頭の中で、変な対話が流れてきた。
『この世は驚きと冒険に満ちあふれてるんだってばよ!!』
『オラ、わくわくして来たぞ!』
『ニンニン』