予備校の偉大な先生 後編

大変長らくお待たせしました。それでは後半の始まりです。


高校三年の10月。俺と赤嶺涼は、物理の授業を受けに、もの凄く狭苦しい教室の一番前の右側の席に陣取った。
この部屋はホントに狭いのに、うちの塾はとても腹黒いので多くの机を置いていた。そのため教室を占める机の密度が半端なくデカイ。おかげで一番前の席は教室の教壇とほとんど接していた。
やがて、生徒が集まり、息が苦しくなりそうな人口密度に。そして、あの先生が現れた。
相変わらず上着はTシャツの袖を切ってタンクトップにしたままであったが、ズボンだけはトレパンに変化していた。さすがに10月だからか?いつもならバリバリの短パンである。
授業が始まった。いつも通り授業は進んで行く。ところがしばらくして、先生が黒板に書いた問題を考えろと言った。皆ノートに写し取って問題を解きだした。
しばらくノートを睨む。俺は若干緊張していた。なぜなら俺の最前列の席は教壇とほぼ接している。つまり、先生は俺と1mもしないところで授業しているわけで、先生からだと俺を見下ろすような視点になる。当然、ノートなんて丸見えだ。
やべ・・・わからん・・・・
すると先生の足音が聞こえて来た。俺は必死で問題を解いているふりをしている。
ヤバい・・・よりによって俺のところに向かってくるなんて・・・・
すると・・・・・
先生「・・・・うん・・ちと暑いな・・・」
そのあと
ごそ・・ごそごそ・・・
なんか変な物音がする。
俺はノートを見ているので、何がすぐ近くで起きているのかわからない。顔をちらっと上げてみた。
すると先生はなんと俺と涼のすぐ近くで、トレパンをおもむろに脱いでいたのだ!しかも教壇の上で!
でももちろん下から短パン(レイザーラモン級に短い)をはいていたので犯罪になるようなことは無い。しかし、見ていて非常に気色悪い。大の男がズボンを脱ぐことによって太ももがあらわになるところなど、見てもなんも嬉しくない。
一度あらわになったら、後はどうってことは無い。ようは、ズボンのなかから現れる瞬間が一番気持ち悪いのだ。
しかも、わざわざ教壇の上で脱ぐってのが解らない。どう考えても見られてることを意識しているようにしか見えない・・。実際、表情は無表情のままだけど、微妙に恥じらいが混じっているようにみえた。もしかして、それが快感なのか?
でも、教室の誰も特に反応を見せなかった。もちろん俺も。なぜなら、これも見慣れた光景だったからだ。
先生が教壇でズボンを脱ぐのは日常茶飯事なのである。偉大な先生である。
しかし・・ここからがいつもと違った。
しばらくして、またいつも通り授業を聴いていると・・・
一緒に最前列に座っている赤嶺涼が、肘で俺をつついてくる。
俺「なに?」
すると、涼は、決して声を出すなというような雰囲気を醸し出していた。こっちの目を見て、落ち着いて聞け、と訴えてきた。俺は黙った。
すると、涼はシャーペンで机に絵を描きだした。短パンの絵である。短パンをはいている男の人の腰の部分の絵だ。これがなんなんだ?
すると、涼がもう一度俺を見た後、今度はその短パンの股間の右側から、変なものがはみ出ているのを書き加えた。男なら誰もが持ってるアレである。
でも、だからなに?
すると涼は、今度はちらっと先生を見た。そして、こちらを見て、うなずいた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・・・・・
ま、まさか・・・・・
ザ・ワールド
せ、先生の 『世界』  が、発現しているとでもいうのかっ・・・・!!?
ええ・・・!?いくら何でもすれはマズイって!まさかそんなことは無いだろ!そんなことは無・・・・
うわーーーーー・・・・ばっちり出てるよ!!ぽろりどころじゃねーよ!股間から出てるスタンドとばっちり目が合っちまったよ?!
そうなのである。もう見えてるとか言うレベルではないのだ。ばっちり片方がぶら下がっているのである!!
でも、こんなことってホントに前代未聞だぜ!?授業中に局部露出って完全に犯罪だぜ!!?
俺はちらっと振り返って他の人の反応を見た。まだ皆気付いてないようだ。
俺(どうするよ!!これ先生に教えた方がいいんじゃない!?)
涼(でもどうやってよ。下手に教えたらみんなにバレて逆効果だぜ)
俺(でもなんとか教えないと・・)
先生「どうしたお前ら、質問か?」
・・・・・・・・・・!!!!
俺と涼は固まった!
なんて事だ!
先生がこっちにやってくる!!先生は俺と涼が問題の解らないところを相談していると勘違いしてしまったのだ!!!
俺「いや、別になんでもないです」
先生「解らんところがあったらちゃんと聞けよ」
だからなんでもないですって!!もうその時先生最接近。まさに教壇のせいで、先生の腰が俺と涼の目の高さに・・!
てか先生あんまり動かないでくださいよ!かすかに揺れる様子が丸見えじゃないですか!!
先生「どこが解らないんだ」
俺はたまらず視線をノートに落として、どうでもいいところを質問して難を逃れようとした。
俺「せんせい、この・・」
先生「これはさっき説明したヤツだぞ」
知ってますよ!!
先生「確かこの式はこの辺に書いたろ!あれ、どれだっけ」
先生は腰をひねって黒板を指で追いながら式を探し始めた。ばっちり股間をこっちに向けたまま。あっち向けろよ!!
先生「あれ・・ないな・・」
先生は無理矢理腰をひねりながら黒板を探し続けて、遂に真後ろを見ようとした瞬間、パーフェクト・ポーズが完成した・・。
皆さんはリンボーダンスを知ってるだろうか?あの背中を出来る限り反って棒をくぐるあれである。
先生は、ほんの一瞬の出来事であったが、まさにあの、棒をくぐった瞬間の、あの究極のポーズになったのだ。
股間の向きは、俺と涼にストライク。俺は、ぽわーーんとなった。
結局、その日先生は俺らが知らない間に、自分のアレを生徒に公開している事に気付いたのか、いつの間にかトイレにいってズボンを変えてしまった。そのため、この事を目撃したのは、俺達二人を含め、わずか数人にとどまった。
俺はその夜、宇宙の夢を見た
(終わり)