五年五組の秘密 前編

俺は、なんだかんだでいつも決定的な瞬間に立ち会えてないような気がする。
例えば、この前やって来た友人が起こした伝説の“あなたのお子さん誘拐しました”事件。
これは、“あなたのお子さん誘拐しました”という言葉を、部活の仲間の親に、仲間本人の前でいたずらで電話したことによって、沖縄全土の警察を動かす事になるという、まさに大事件だった。
その結果当然その場にいた部活のメンバーは全員ビンタ。電話した友人は、警察所長に謝りに行った。翌日は当然全校朝会。まさに伝説。
で、その時俺はというと・・・
なんと、たまたま気分のせいで、仲間達とは別のルートで帰ったんすよ?!!何じゃそりゃ!後もう少しで伝説の目撃者だったのに!!皆とと一緒にビンタされて、『ビンタされたゼー』って威張れたのに?!!
だから、ここで詳しく書くってことが出来ないんです。細かい点はもうほとんど忘れてしまったし。順序もいまいちわからない。
でも、中にはそんな決定的な瞬間を見逃しても、書く事が出来そうなものがあります。
今回お話するのは、小学生の時に起きた、そんなタイプの事件の物語です。(あ、例のシリーズの第6弾ですよー)


小学校五年生だったある日の昼休み。俺は同じ松島小学校五年五組の男子のメンバーと、いつもの様にケードロをして遊んでいた。俺はちょうどその時泥棒で、植え込みに隠れて警察から身を隠そうとしていた。
すると、向こうからクラスの女の子がやってきた。
女子「嘉数先生しらない?Mがガラスでけがをした」
ガラスによる怪我はマジでヤバい。例えばそれがガラスのコップとかだったらまだいいかもしれないが、窓ガラスとかだったりすると、下手すれば致命傷になる。
俺はそれ以前に友人がガラスでざっくり怪我をしたのを目撃したことがあったが、それはトラウマものの光景だった。出血の量が半端じゃなかった。
先生を呼ぶほどとはただ事ではない。あの血みどろの光景が思わずよみがえった。
先生の居場所を知らなかった俺は、取りあえず教室に戻る事にした。
中では多くの児童でごった返していた。見ると窓ガラスが割れ、辺りに散らばっていた。Mは既に保健室に運ばれたらしい。一体、何があったのだろうか?
俺はクラスメイトに何があったのか訪ねてみた。以下はその内容を(覚えている範囲で)簡単にまとめたものです。
その人は女の子で、数人で教室に残って皆で遊んでいた。他に教室にいたのは、他のグループの女子と、教室の後方で野球をして遊んでいた男子数名。
しばらく遊んでいると、急にガチャーンという凄まじい音がした。振り返るとボールがはねていた。これは男子が野球で使っていたボールとは違ったものだった。
慌てて、クラスのメンバーが窓から外を見ると(ここは三階)、少し離れた所(学校外)に中学生が二名ほど立っていた。
中学生『ボールを返せ』
するとさっきまで野球をやっていたガキ大将が彼らにボールを投げつけた。中学生はそのまま逃げて行ったのだそうだ。
嘉数先生が遅れてやってきた。先生はこの小学校きっての鬼婆教師である。
先生「中学校に連絡しに行きます。ボールはどんなものだったの?」
ガキ大将「野球っぽいボールだったよ。あ、まだ落ちてるかも!」
先生「?中学生が持って行ったんじゃないの?」
ガキ「違うよ、受け取る前に逃げたってば!えー、誰か探しに行こうぜ!」
すると、その場にいた児童が一斉に、わっと外に飛び出した。あの鬼先生の制止も聞かず、裏門から校外に出て、わいわいボールを探し始めた。もちろんその中に俺もいた。こんな事件だ、胸がワクワクだっつーの!!
学校の裏門は坂に面していた。坂道は、俺達の校舎のすぐ隣を平行して走っており、裏門から出て左にのぼって行くと、ちょうど教室のある三階の高さと同じぐらいになる。そこからなら十分窓にボールを投げて、窓を割る事が出来るだろう。
俺達は一斉にその坂を下っていった。ボールを投げ返したのなら、確実にこの坂を転がって行っているに違いない。
すると、五分も経たないうちに、ガキ大将達のグループから歓声が上がった。どうやら見つかったらしい。
ガキ大将「これだ!間違いない!!」
俺「みしてみして!」
見ると、それはテニスボールだった。
・・・・テニスボール?テニスボールで窓割れるの?
その時、学校の始業チャイムが鳴り響き、みな一斉に教室に向けて駆け出した。あの頃は何かがあるとすぐに走り出す。
教室の席についてホっと一息ついた、
・・すると、俺は肝心な事を忘れている事に気がついた。
そういえば、Mはどうなったんだ?
慌ててクラスを見渡す。すると、いた!!あれ!?なんでいんの!?
俺の隣の人「アイツバカだからよ、散らばったガラスを掴んで、それで指きったってば」
はあ!?
隣「しかも指をちょっと切っただけなのによ、大げさに泣きわめいてからよ・・」
何じゃそりゃ
(つづく)