築地旅行と諦める話

マジで最近ブログ更新できないよ。
パソコンが研究室に電撃移籍して以来、いつも人気のいないころあいを見計らって書いているんだけど、最近は深夜一時に帰ったり四時になったり、果てはお泊まりになったりして、その間はだらだらしながらも、基本的にグループ作業。遂に寝袋も導入した。
で、書けてない間にもいろいろあったわけですよ。研究室の調査で昭和記念公園という超凄い公園に行って遊んだり。
でも、一番でかかったのは、やっぱり深夜の築地旅行。
もうみんなさんざん書いているから、何を今更ってなるけど、でも、やっぱりこれは凄かった。書かずにはいられない。
基本的に俺は特別寿司が好きというわけじゃない。でも、深夜にチャリで築地まで疾走という危ない響きに惹かれてしまった。
俺はこの日、非常にピリピリしていた。
その前の数日間、俺の中で漠然とした不安感が膨れ上がっていた。就職か進学か。もうそろそろハッキリしておきたい。もし就職するのなら、作品集を作らなければならない。
作品集とはデザイナーになる人には欠かせないものだ。今まで課題で出した作品を作品集という形にまとめて、面接のときに見せなければならない。当然良いデザインであればある程よい。
ところで、俺はデザ工において劣等感の固まりのような存在だ。良いデザインなんて、今の段階ではなかなか出来ない。
そこで、就職は院に行ってからでもいいかな・・と漠然と思ってた。まだまだヒヨッコのガキだし。
しかし、一方では、院に今行くのは非常にもったいないのではないかとも思っていた。今の俺には特に勉強したいことも無い。どっちかというと、実践的なことをやりたいというとろもあった。学術的にデザインを研究しても、果たして面白いのだろうか?
就職するなら、作品集。でも出来が悪そうだから院。
紙に俺の気持ちと考えを書いてこの答えを導きだしたとき、なんて馬鹿げた選択肢だろうと思った。でも、やっぱり未熟のまま社会に挑戦していくするのは怖いというのが本音だ。
どうしよう・・・・
そこで、学科でめちゃくちゃ仲がいい原という先生に相談しに行った。大学院進学理由は曖昧のままで。
すると原先生に衝撃的なことを言われた。
原先生「山ちゃん(研究室ではそう呼ばれている)は正直大学院に向かないと思うよ。」
俺ははショックだった。なんで?馬鹿だから?
でも、何となくわかってはいた。大学院志望理由の曖昧さ。直接そのことを指摘されたわけじゃないけど、それこそ原先生のいわんことだったのかもしれない。
そして、俺はその言葉にすんなり納得してしまった。反論したかったけど、心が既に認めてしまっていた。心が認めたってことは、俺の中では“真実”だということになる。俺はそれが心底ショックだった。
『相談しようとする時、本人の中では既に答えが出ている』。まさみが言った言葉がぐさぐさ心を刺す。
進学という選択肢は依然として存在するけど、俺の中では限りなく小さなものとなってしまった。
就職。
それは、金銭的には完全に大人になるということだ。
おお・・・とうとう俺も親の骨をしゃぶる餓鬼のような生活に別れを告げる時が来たのか。
これは明らかにいいことのはずだ。俺の高校の同級生はもう社会人が沢山いる。俺も早く彼奴らに追いつかなきゃ行けないのに、自分でそれをするには腰が重すぎた。
でも、それをテコで外部からもちあげられたのだ。
もうやるしかない。
でも、臆病な俺にはそれが辛かった。まるでバンジージャンプの飛び台で、後ろから押された気分。怖くて、色んな気持ちが入り乱れた。精神がとても不安定になった。
その夜牛角で、インテ、カフェ班の打ち上げがあった。ここでも些細なことでイライラして、どうしても我慢が出来ない。
・・・・・・
もう、疾走しなければ・・・・・・・・!
夜の1時、ズンの家を出発して築地に向かった。
正直結構この旅行を楽観視していた。途中までは元同居人のヤーボーに江戸川区までチャリを返しにいった時と同じルートだったので(9/16『小旅行』参照)、道も知ってたしとても楽だった。
でも、あの月の光を見ろよ!
江戸川の土手を、九人で月の光に照らされながら走ったんだけど、もの凄く奇麗だった。
左手には漆黒に塗りつぶされた江戸川が悠々と流れ、目指す遥か先には橋の上を車のヘッドライトの光の群れが走っていた。そして、足下には青白い月の影。
その土手の道ははじめは滑らかだったんだけど、途中からかなりあれてきた。砂利道。パンクが心配される。
すると、左手の芝生の斜面の下方に、こちらの進行方向に沿って幅5メートルぐらいの白い帯状のものが走っているのが見えた。月の光で白くボウッと浮かび上がっているのが見える。あれはなんだ?川か?道か?
すると何人かがその白い帯におりていった。それは道だった。俺も遅れてその道に合流。やっとちゃんと前を向いて走れるようになった。
すると・・・
すげーー!!!
いつの間にか俺は赤と白でぬられた鉄塔の前に来ていたんだけど、それが月の光に照らされながら、夜空に向かって堂々とそびえ立っていたのだ。圧巻。なんて美しさ。
ストレスのことを完全に忘れてた。またでっかい思い出が一つ増えた。
そして、もういい加減学生終えてもいいんじゃないかという気にもなってきた。特にそれを見たからどうなったというわけじゃない。でも、なぜかふと、心が軽くなった。
諦められそうになってきたのだろうか。
諦めようぜ。人生は絶えず変化するもんなんだ。