雨の国立競技場

 

1.

ちょっと旬をすぎてしまったけれど、この前の金曜日、初の国立競技場に行ってきました。J1昇格への最後の切符をかけた、プレーオフの決勝戦です。この試合は勝てば昇格、負ければ残留と、天国と地獄がはっきり別れる試合。僕の応援するジェフ千葉と対戦するのは、大分トリニータ。大分は6位でリーグを終えたのですが、先週の日曜日、リーグ3位の京都サンガFCをアウェイで4ー0で破り、プレーオフ決勝戦に進出してきました。

この日は気温が低く、しかも雨も降っていて。僕は家にカッパがなかったので駅で買おうと思っていたのですが、思ったより時間が無いことに気がつき、あれよあれよという間に、国立競技場についてしまいました。会場についてみると、雨もやんでおり、カッパのことなどすっかり忘れてそのまま試合会場へ。

僕はキックオフ一時間前ぐらいに着いたのですが、千葉側のゴール裏はすでにレプリカユニフォームや黄色いカッパで真っ黄色に染まり上がっていました。試合前から両チームのサポーターともに応援合戦が繰り広げられていて、ものすごい雰囲気ですよ。僕らはゴール裏の最上段に滑り込んで、焼きそばと暑いコーヒーをすすり、応援の様子を見学。まだサポーター始めたばっかりなので、正直チャントを叫んだりするのは抵抗がありました。

 

午後13時、ついに試合開始。前半は千葉のペースで試合が進み、何度か決定機を演出するも、両チームとも動きが硬くて決めきれず、スコアレスのまま前半終了。

しかし、後半は非常に激しい試合になりました。何度も惜しいシーンが続いて、僕らもヒートアップ、気がついたら、雨も土砂降りに。その時、ちょうど眼下にあるペナルティエリアギリギリのところで、フリーになった千葉の選手を相手ディフェンダーが後ろから手で思いっきり引っ張り倒され、一気に怒号が巻き上がりました。イエローカードが出されたんだけど、あれはレッドだろとブーイングの嵐。もうビショビショ。

ところで、千葉はこの試合、実は引き分けでもJ1に昇格することができました。というのも、リーグ戦の順位は千葉の方が高かったので、アドバンテージが与えられていたのです。後半も残り時間5分を切り、未だ0-0の無得点。このままだと千葉が昇格を手に入れられる!、、、はずでした。

でも、そこに気持ちの緩みができてしまったんでしょうね。。後半41分、千葉の選手交代が終わった直後、一瞬の隙を突かれて大分に先制を許してしまいました。先制したのは去年まで千葉に所属していた選手。なんという因縁。

ついさっきまで絶叫していたポーターも、あっけに取られて沈黙してしまいました。選手たちも、一瞬状況が飲み込めていない様子。

そこからまたジェフの猛攻。身長が2mもある外国人選手を投入し、無理やりゴールをこじ開けようとしましたが攻撃が空回り。そしてロスタイムが5分もあったものの、時間だけが過ぎ、とうとう試合終了の笛がなってしまいました。

丁度そのころ雨もやみ、国立競技場には大分選手とポーターの大歓声と、ただただ茫然とする千葉。地面に座り込んだまま起き上がれない選手もいれば、立ち尽くしたまま天を仰ぐ選手たちもいました。あと、ほんの少しで昇格できたのに。。指と指の間をすり抜けるとはまさにこのこと。ジェフの一年の幕が閉じた瞬間でした。

 

2.
いやー、悔しい。はっきり言って僕は9月からしか応援してないし、選手の名前を全員覚えているわけでもなく、まだまだヌルいサポーターなんですが、それでもこの悔しさ。目の前で閉ざされた昇格への扉。頭が真っ白になるとはまさにこのこと。ずっと前から追いかけてきたサポーターはすごいことになっているでしょう。そして選手にとっては尚更。。もし直接言葉を交わす機会があったとしても、かける言葉なんてありません。でもまあ、大分も大分で、ものすごいプレッシャーを背負って来ていたのも知っていました。あまり詳しい経緯は知らないのですが、今年は本来ならばJリーグの運営から借りていたお金のせいでプレーオフに進出できない可能性があったそうです。大分県民や企業からの寄付でなんとか3億を返済し、プレーオフの出場権を獲得できたんだとか。その大分県民の思いのためにも、何としても勝つ必要があったんです。だからじゃないけれど、大分トリニータには素直におめでとうと言いたいです。あーでも悔しいな〜、なにもその物語に花を添えるのがうちじゃなくても良かったのに。。千葉のサポーターからはブーイングもなく、挨拶にきた選手たちに、温かい拍手を送っていました。雨はすっかり上がっていました。

僕は詳しい戦術はよくわからないけれど、ジェフの選手たちはこのプレーオフを通してみんなよく走り、戦う意思を見せてくれました。一応天皇杯が残っているとは言え、リーグ戦はまた来年。来年はこんな厳しいプレーオフに出ることなく、リーグ1位2位に入って欲しいです。また来年も応援してみよう。今年はジェフにJリーグの楽しさを教えてくれてありがとうと言いたいです。

今年は応援するチームと出会えて本当に良かった。