アンモナイトを集めたつもり

1.
この間ツイッターで「夕焼けドラゴン発見」って書かれた写真付きのツイートが流れてきて、観てみたら、海の上に浮かぶ雲が写っていた。じっと見てると確かに龍の頭のように見える。僕はふーんと思ったんだけど、いやいや、イラスト描いている人間がこれを「ふーん」で終わらせたらダメだろうと思い直し、しばらく眺めてた。小学校の時だったら、これを見てるだけで、雲を何かに見立ててしばらくの間時間を潰せたはずだ。って事を考えてたら、小さい時のことをいろいろ思い出した。

 

2.
子供は誰でも想像力が豊かだからか、物事を何かに見立てるのがうまい。ママゴト遊びはおもちゃを家庭の道具に見立てるし、キン消しで遊ぶときは、それをキン肉マンに見立てて遊んでる。あるいは、よくわからない形の粘土を、スーパーヒーローに例えて遊んだりすることもある。見立てて遊ぶと、あたかも本物を操作しているような、あるいは、自分がスーパーヒーローになったかのような気分になる。子供の時だけできる特別な遊びだ。
で、僕はというと、、、子供の時はカタツムリをアンモナイトに見立てて遊んでた。

 

3.
僕は幼稚園の時ゴジラを観て感激して、親に怪獣の本を買ってとせがんだところ、何か勘違いしたのか恐竜の本を買ってきた。それをキッカケに恐竜、そして化石に興味が広がった。地面の中から大昔の動物が出てくるというのがすごく魅力的に感じられた。

ただ、僕は化石がなんなのかあんまり理解ができてなくて、渦巻状の物を全てアンモナイトだと解釈した。だからカタツムリの殻、サザエの蓋、ヤスデの死骸をアンモナイトだと勘違いして、とにかく集めまくった。不思議な事に、生きているカタツムリを観ても、カタツムリとしか思わなかった。でも、死んで貝殻になった途端に、これは太古の昔の化石だ!と勘違いするわけだ。ここまで激しいと、勘違いというよりも、もはや催眠術に近い。

たちまち家の中はカタツムリの殻だらけになった。するとそれを観ていた両親が面白がったのか、化石の棚を作り、ベランダに置いた。こうして、ベランダにはアンモナイトという名のカタツムリの殻のコレクションが並んだ。この貝殻一つ一つからタコのような頭が出て、海を泳いでいたのだと考えると胸が熱くなった。
そして、この若さ(幼稚園)でここまでアンモナイトを集めた奴も他にいるまいと思った。こういう変な野望というか、下心はいっちょ前にあった。これを将来県立博物館に譲ろう、それまで、もっともっと化石を集めるんだ。

 

4.
一年後、当然それらはゴミ箱に捨てられ、焼却炉行きになった。