結婚式で死んだお話

11日、つまりこの前の月曜日、俺はまさみ、あーやーとともに、舞浜のシェルトンホテルに向かった。目的はリョウさんという、沖縄料理店『ちゃんぷる』の常連さんの結婚式の二次会に参加するためである。
リョウさんは、その年よりも圧倒的に若く見える人で、始め合った時は俺とタメか、1?2こぐらいしか違わないだろうと思ってた。
でも実際にはもっと離れているわけで、その分人間的にもかなり、っていうか、俺よりは圧倒的にしっかりしている。
で、まあ、ちゃんぷるの兄貴的な存在な訳です。手とかもごっついし。
今回俺はその二次会で、会場のBGMのボタンを押す係を担当していた。しかし、俺たち一行は既に三十分遅刻。ヤバい!
ニコラスさん「大丈夫だよ。なんか司会のところにBGMの機材がおかれてたんで、俺がやるよ」
ニコラスさんとは今回の二次会の幹事で、ちゃんぷるの常連さん。俺と干支一周分も離れているのに、めちゃくちゃ仲がいい素晴らしい人だ。その姿がアメリカの某俳優にそっくりだからそうよばれている。
会は新郎新婦の入場から始まり、飯をバイキング形式で食べながら談笑タイム。その後、新郎新婦への質問があって(どんなプロポーズしたんですか?とか)、最後にBINGOゲームが始まった。
ニコラスさん『Bの8!・・・次Oの79!!』
はじめは粘ってやっていたんだけど、ぜんぜん当たらない。イライラした俺は、全部終わってがっかりする前にこちらからこんなゲームおりてやろうと決意。遅れてきた裕一郎とおしゃべりをしていた。
しばらく話していたんだけど、いつまで経ってもビンゴゲームが終わらない。
・・・・・
・・・・・・え?まだやってるの?
次々と賞をとる人が続出。しかしビンゴはまだつづく。
てか賞品こんなに多かったんだ!今更ながらビンゴを真面目にやってなかったことを後悔した。でも、もうどの番号が今まで言われたのか知る由もないから、再開なんて出来る分けない。
またお酒を飲みながら、おしゃべりを再開。
するとしばらくして、なんか会場の空気が変わった気がした。
ニコラスさん『はい!リョーの10!!』
・・・・・・リョーの10?
『Bの10』なら解るけど、なんでリョーなんだ?
俺は手元にあったビンゴのカードを見た。
・・・・・『10』がある・・・
とりあえず、俺は『10』をチェックした。そして、同時にこんな考えが浮かんだ。
もしかしたら、今敗者復活戦みたいなことをしているのでは・・・?新郎のリョウさんが引いた番号・・あるいはカードにある数字と同じ数字を持っている人は何か特殊な賞がもらえるとか・・・・?
ニコラスさん『・・・・え?と・・・37!37あった人!』
・・・37ある!!俺の手元のカードには37の数字ある!!
しかもこれはやっぱりビンゴじゃない!普通だったらニコラスさんは『ビンゴの人』と聞くはずだ。『37があった人』と聞くということは、何か別のゲームになっているに違いない!
そうなると考えられるのはただ一つ・・・敗者復活戦だ!!
俺「はい!37ありました!!」
いきなり会場が爆笑に包まれた。
ニコラスさん「・・・おまえ、37当たったのか?」
・・・・もしかしたら、俺何か勘違いしたのか?まさみに至っては指差して笑っているし・・・
俺「おれビンゴじゃないんですけどそれでもいいんですか?37当たっているだけで」
会場がさらに大爆笑した。完全に謎である。
俺は怖くなって席に戻ろうとしたら、
裕一郎「行け!!おいしいから行け!!」
裕一郎がこんなことを言ったら完全に危険信号だ。俺は絶対何かをやらかした。一体何を?
そのとき、司会の隣にいた、どっからどう見てもやくざにしか見えない竹さんが、めっちゃ怖い顔をして歩いてくる。なんだなんだ!?
酒井さん「カメラかして。ちゃんと撮るから」
何だ!?はあああああ!!?わからんわからん!!
竹さんが強引に俺の腕を引っ張って新郎のところに連れて行った。超恐わっ!!
もう、わけが解らない。どうなってんだよいったい。
しかし、何よりも最も驚いたのは、次のニコラスさんのセリフであった。
ニコラスさん「はい、ではこれから将樹君と新郎のリョウさんが熱いキスを交わします」
・・・・・・・・はあああああああああ!!!!????????
は!?まさか!!
さっきの『リョーの10』、あれは『10』ではなくて、『リョウ(さん)のチュウ』だったんだ!
俺は聞き間違いをしたんだ!!よりによってこんなことを・・・・!!!
痛恨のミス。こんなに少し過去の俺の耳を呪ったことはない。
謎はすべて解けた。しかし、時は既に遅かった。
気付いたときには、兄貴のごっつい腕が俺の背中に回り、目を閉じたリョウさんの顔が目の前に迫っていた。
ぎゃーーーー・・・・・・・・(心の悲鳴)
感想:意外とやわらかかった