黒浦崎VS納豆仙人 その2

(注意:この作品はかなりきもいので、ひきそうな人は注意してください)
ある通行人が各納豆を見ながら歩いていると、あたりが急に薄暗くなった事に気がついた。
「なんだ?」
さっきまで太陽があった方向を見ると、空は晴れ渡っているのにも関わらず、黒渦山の方から巨大な黒雲がわき上がっているのがみえた。それが太陽の光を遮断しているのだ。
「何だありゃ」
「火事じゃね?」
しかし様子が変だ。その黒雲はじわじわこっちに近づいているように見える。そして、それに従ってそれは雲ではなく、何かの大群である事に気がついた。
そして、次第に変な音も聞こえて来た。
ぶ?んぶ?ん・・・
さらに、納豆市に、どこからともなく蠅がたかるようになって来た。
親方「何だこの蠅は!」
あちらこちらでも蠅がぶんぶん飛んでいる。
すると、市の客の一人が言った。
「もしかしてあの雲・・・蠅じゃね?」
その瞬間だった。蠅の大群が、雲から一斉に、滝のように市場になだれ込んだ。
市場は悲鳴に包まれた。
ちょうど岡村は親方に黙って老人に財布を届けに、町中を歩いていた。しかし後方からものすごい勢いでくろい物体が迫って来たので、慌てて近くの車の後部座席に飛び込んだ。
すると、あっという間に車は黒いうねりに飲み込まれた。
岡村「これ、蠅だ!!」
すると通行人が蠅に覆われたまま車の後部の右側のガラスをたたいて来た。
「助けてくれーー!」
岡村「む、無理です!あけられないです!」
「うああああ」
すると通行人がどんどん変化して来た。どんどん体は茶色くなり、とぐろを巻いた。
これはどう見ても、アラレちゃんに出てくるようなウンコだ。
この蠅に覆われたら、ウンコになってしまうのだ!
岡村「うわああああ!」
その時、後部ガラスの向こうに広がる黒いもやもやの中に、巨大なものが歩いているのに気がついた。
岡村は高鳴る心臓を押さえながら目を凝らす。
すると、それは人間だった。しかし、巨大であった。身長は3メートル近く。しかもめっちゃデブ。上半身裸で、ステテコパンツを一枚つけただけ。体は汗ばんでいて、目は完全にイッていて、言うなれば、『蠅の中に立つ、狂気の上裸デブ』、であった。
そのデブは、いったん空気を大量に吸い込むと、さらに大量の蠅を口から吐き出した。
『納豆を奪え・・・。生き物をクソにしろ・・・。俺は甘いものと納豆が大好きなんだ・・・』
蠅は凄まじい勢いで、市場中の納豆を上空に巻き上げた。
『ぐふふふふふ・・・』
デブはその瞬間体中が蠅に覆われ、上空に浮き上がり、そして他の大群と一緒に黒渦山に去って行った。
しばらくして、岡村は車の外に出た。空は晴れ渡っていたが、あちらこちらにウンコが落ちていた。
親方もウンコになってしまった。
お得意さんもウンコになってしまった。
野良猫もウンコになってしまった。
みんなウンコになってしまった。
岡村は呆然となった。
ところが、その様子を見た蠅が一匹いた。名前は蠅夫。
蠅夫は生きている岡村を見ると、すぐに両手をこすって超音波を出し、狂気のデブに連絡を取った。
蠅夫 『黒浦崎様、まだウンコになってないものがございます。』
黒浦崎『ぐふふふ・・・俺は気分がいい・・・見逃しておけ・・』
蠅夫『すりすりすり・・・わかりました』
黒浦崎は山の中にある住まいの玉座に座っていたが、すくっと立ち、市場の方角にある窓から外を眺めた。この屋敷は、普通の人には絶対見えないようになっている。
黒浦崎『さあ・・蠅どもがくる前に、三百年ぶりにあれをしてみるか・・』
黒浦崎は、驚異的な視力で市場で呆然となっている岡村をその目でとらえると、口を大きく開いた。
『ぐばああああああーーーーーーー!!!!!!』
すると、黒浦崎の口からものすごい勢いで、青白く光る光線が発射された。
黒渦山の頂上から圧倒的に強烈な光線が、まるで灯台の光のように降り注ぐ。
大地が震えた。
ものすごい衝撃音。
そして、市場だけでなく、そこらへん一帯は、建物も含めてすべてウンコと化した。ウンコの街。
そして、その中に、かつて岡村と呼ばれていたウンコも存在した。
つづく
(明日は特別な日のため、『黒浦崎VS納豆仙人』はやりません)