ガジュマルクラブ その2 反撃ののろし編

沖縄の踊り『エイサー』を踊る自称NGO、ガジュマルクラブは未だに危機に瀕していた。
まずは、疲れて書けなかった、この前の金曜日の復習から。
この前の金曜日のサークルの部会後、俺は三線を持って轟公民館へ。
行く途中に二年の男と偶然会って、そいつと一緒に練習室に入ったら、今度はケンジとこの前来れなかった石川の二人しかいなかった。
石川「石垣と来れなくて知念は遅れるって。」
この後石川が抜けて、ケンジも弟を迎えに駅に向かった。部屋にいるのは俺と二年の男だけ。
「将樹さん、三線教えてください」
俺は簡単なやつを少し教えた。『チューリップの花』だ。誰もが知ってるあの歌だ。
やつは夢中になって、チューリップを引いていた。そこには会話なんて存在しない。
淋しい部屋に、チューリップを奏でる三線の音がむなしき響く渡る・・・・・
するとそこに、犬の吠える音がした。
「これ知念さんに吠えてたらウケますよね」
すると、直後に知念が顔をこわばらせて入って来た。
知念「なに、あの犬、なんで俺見て吠えんの」
当たってた!!
すると知念は来て2分もしないうちにとんでもないことを言った。
知念「ごめん、俺もう行かなきゃ」
俺「え、なんで?」
知念「おれさ、今からさ、”よさこい”の会議があってさ」
・・・・・はあ!?
二年の男「”よさこい”ってエイサーのライバルみたいなもんじゃないっすか!!」
知念「ホントごめんよ、今日やばいんだって・・」
バタン・・・・
ドアが閉まった。部屋がどぉおおん・・・てなった。
で、今日。俺の提案でケンジの踊りを撮影する事になった。それを俺が編集して、みんなにお手本として配るのだ。
俺は岡Pからゴージャスな三脚を借りて、カメラをってケヤキ前に行った。しばらくして、石垣さんとケンジがやって来たけど、知念がまだ来ない。なんと連絡もつかないようだ。
石垣「将樹、ちょっと別な問題が発生した。」
俺「なんすか?」
石垣「知念がMDプレーヤーなくしたんだって。」
俺「マジっすか!?」
じゃあケンジは今日どうやって踊るんだ?
石垣「でもあんまり知念を責めないでこうぜ。多分アイツ来にくくなるから」
俺は、普通ここで『なにやってんだよアイツ』と言いそうなところを、そう優しく振る舞う石垣さんの暖かさが好きだ。
知念はしばらくしてなくしたMDプレーヤーを発見して、集合から一時間以上遅れてやって来た。
そのまま俺たちは工学部二号棟の屋上に向かった。
ものすごく風が強かった。俺はカメラのマイクの部分を靴下でくるんで即席の風よけを作り、撮影位置を調節した。バックは少し曇った空と稲毛海岸まで見える風景。ビルが建ち並び、全体的に灰色っぽかったけど、時々雲の隙間から日が差し込んだりした。
なんと言う美しさ。カメラにはうまく撮れてないのが残念だ。
それを背に、ケンジは踊りだした。
沖縄で、昔から受け継がれて来た男の踊り。激しいかけ声とともに太鼓を叩く。
これが千葉でやってるんだ。なんかすごい”流れ”のようなものを感じた。俺はなんか少し熱くなった。
するとほかの三人(石川が遅れて来た)も熱くなったのか、最後の曲『唐船ドーイ』になった時、石垣さんが「最後で乱入してカチャーシー(よく沖縄関係の番組ででる、手を動かす踊りの事ね)しようぜ」ってなって、俺も超恥ずかしかったけどそれに参加した。
俺も含めてみんなかなりへたくそだ!
ケンジ「だー!!へたくそ!わー(俺)にもやらせれ!」
ケンジがエイサーを放棄してカチャーシーした!すげー様になってる。
てかなんでこんな一体感がするんだろう!?
すごいすごい!!
これだ!これでガジュマルクラブも反撃だ!この一体感をもっと押し広げて、今までを一気に取り返すんだ!!このカチャーシーは反撃ののろしなんだ!!
撮影が終わり、映像確認をした。
なんじゃこりゃ・・・・
特に最後のシーン。
顔の濃い22歳以上の男五人、ビルの屋上で、全員曇り空に両手を上げ、くねくね動かしている。
・・・・・まるで狂人たちの集い・・・・・
しかし、石垣さんはさらに上を行った。
石垣「なんかUFO呼んでるみたいでかっこいいな」
よっしゃ!!何事もポジティブシンキング!!