風の中を歩く

2月から始まっていた学科の三年の一大行事、タテワリがついに終わった。俺はここ数日間ムッシュとつきっきりで受け付けカウンターを作ったり、トイレに十何時間もこもって壁や便器、ありとあらゆるものにアルミホイルを張りまくったりと、大祭っぽい事ばっかりをやって来て、寝る時間も満足にとれない日が続いた。
そして今日本番を迎えたわけだが、いやはや、そのクオリティーの高さには本当に驚いた。この場でどう書けばそのすぐさがわかってもらえるのか見当もつかないので書かないけれど、まあ、要はすごすぎてひっくり返りそうになったって事であります。
で、本題は今日の打ち上げ。
今日の打ち上げはアトリエ班がデザインしたアトリエ内で買って来た酒を飲むって形のものだった。そのためコールはなく、会を楽しむためには、いかに友人やいろんな人とおしゃべりをするかという事が重要になってくる。デザ工では人見知りがむちゃくちゃ激しい俺としては、自分のからを壊し、少しでも友人を増やすにはかなりのビッグなチャンスだった。この機会を機に学科内に友人を増やしていこうとおもった。
でも実際にはあまりテンションがあがらず、ついさっきまで一緒に作業をしていた人たちとも話が出来ない始末。頭が働かないので機転も何も無い。
俺はたちまち孤独になった。ムッシュと良多はいろんな人たちと話をしている。俺はこの状況をすべて疲れと眠気のせいにした。
するといつの間にか俺は寝ていたらしく、気がつくと、ムッシュや良多、前川と言った前から仲のいいメンバーは既に全員帰っていて、ほとんどしゃべれない人たちばかりが残っていた。みんな楽しげにしゃべっている。
俺は、仲いいメンバーたちがどこ言ったのか聞いてみようとしたが、ケータイがバッテリー切れしてかけられなくなっている事に気がついた。俺は急にいたたまれなくなって、ひとりで帰る事を決意したが、階段で自分の自転車の鍵がなくなっている事に気がつく。どこ探しても無く、歩いて帰らなかればならない事を悟った。
外はものすごい風だった。木々がうなり、木の葉やゴミが舞い上がってた。通りには、誰ひとりいなかった。嵐のような風の中、ケータイも通じず人気の無い道を歩くのは、思ったより孤独だった。
友人が全然出来ない状況を自分が作ってる事はよくわかってる。
でも、そういう仮面をいつの間にかつけてしまう。このひねくれ具合。あ?、やだ、やだ。
今のこの孤独も、そんな仮面をつけた俺への罰みたいなものなのかなと、風のなかを歩きながらふと思ったのでした・・・。