1.FC琉球の話
前回の開幕戦から一週間後、僕は山内真と沖縄市陸上競技場に来ていた。
ジェフと並んで応援しているチームFC琉球の開幕戦を見るためだ。
FC琉球!!
僕の地元のチーム。
J2より一つ下のJFLというプロ・アマ混合のリーグに所属するチーム。2014年からはJ3に参戦する沖縄県唯一のプロサッカーチームだ。
上にあるのは、チームのエンブレム。
両脇にシーサー。上に琉球王朝時代の国王の王冠。そして中央にサッカーボール。
正直、ここまでかっこいいエンブレムはなかなかないと思う。
ところが、チーム自体は沖縄ではあまり人気がない。
沖縄に住んでいないのでよくわからないけど、たぶん試合にあまり勝てていないからだろう。ここ数年の成績を見ると、10位前後を行き来していて、なかなか上位争いに食い込めないのだ。
でも今年は2,013年は、監督も強いところから引っ張ってきた。
それに、元日本代表の我那覇など、優秀な選手も多くて期待が持てそうだと思った。
そして試合が始まった。
正直、予想していたよりはずっと面白い試合だった。
選手自体はジェフ千葉よりは明らかに劣るけれど、それでもパスをつないで猛烈に相手を攻め立てた。
先制点を決めたが、試合終了間際に決められてしまい、試合は引き分け。勝ち星は逃したけれど、それでも面白いサッカーを見せてくれて本当に興奮した。
こんな試合を続けて、更に連携を深めて行ければ、きっと県民の心もつかめる素敵なチームになるに違いないと思った。
県民の心を掴めれば、更にお金が入り、選手を補強して、より強いチームになれる。。
ところが。。。
7月にまた沖縄市陸上競技場を訪れた。凄まじい暑さの夏の日。
この時は、観客は開幕戦の半分くらい。
そして試合は。。
序盤に先制点を奪うも、その後全然走れなくなって逆転負け。
これはヤバイ。全然おもしろくない。3月のあのチームはどこに行ったんだろう?
何より沖縄のチームが、沖縄で、他県のチームに走り負けしちゃダメじゃないか。。
そしてその2週間後。灼熱の8月4日。
この日はサッカー全島一万人祭りと行って、その名の通り、観客を1万人呼ぶイベントが行われた。
普段は1,500〜3,000人ほどしか来ない観客席に、1万人も入ったのにはさすがに驚いた。圧巻の眺め。。
この日は死ぬほど暑かった。会場のアナウンスによると、部屋の温度計が37度を指していたらしく、試合開始1時間前で既に4人も熱中症を訴えていたとの事だった。
そんな日に観に来てくれたのだから、琉球には観客を喜ばせるような素晴らしいプレーをしてもらいたいところ。
この日の相手は、栃木ウーヴァと言って、当時リーグ最下位だったチーム。
1万人の前で強い琉球を見せれば、きっと心をつかめるはず。そしてその目的には最適の相手のはずだった。
ところが、僕の中では嫌な予感しかしなかった。
2週間前のあの試合を見たら、だれでも不安になるはず。
不安は的中した。
見るところもあまり無いような試合で、最下位相手に1-2で敗戦。
3月に描いた夢も急速にしぼんでいった。しぼむ音が聞こえてくるかと思うほどだ。
。。。。。。。。。。。
チクショー!!期待してたのにー!!
2014年も応援するから今年みたいにはならないで!!
2.未勝利スパイラルに落ちる
初夏頃から、自分の私生活的にもあまり上手くいかないことが増えてきた。
買ったばかりの高価なディスプレイの画面がつかなくなったり …
さまざまな仕事の企画が流れて行ったり….
一つ一つは些細なことだけれど、
それが重なるとボディーブローのように効いてくる。
なにもない部屋で一人。。勝ったばかりの高価なディスプレイを修理に出し、コーヒーのシミが付いた古いモニターで作業。
ツイッターにはFC琉球の敗戦を伝える速報が流れ、いろんなことが、気分の淀みを生み出す原因になっていった。
まるで落ちていくようだった。暗いスパイラルに。
うおおおおおおおお
こうなったら、もう試合を見に行くしかない!
勝つ試合を見て、知らない人と勝利を分かち合いたい!
そして、僕をもう一度浮かび上がらせるんだ!!
僕はジェフの応援タオルを持って、フクダ電子アリーナに走った。
ジェフはその頃リーグ3位。勝っている試合の方が多い。
割れんばかりの声援!!
すさまじい熱気!!
ビールを飲んで、ケバブを食って、大好きなチームの試合を観る幸せ!!
ところが。
ガイナーレ鳥取戦とFC岐阜戦、そしてモンテディオ山形戦を見に行ったんだけれど、先の2戦は試合終了間際に同点弾を決められ、最後の山形戦は1−3のボロ負け。
この3つに共通するのは、いづれも後味の悪い試合だったということだ。
特に鳥取と岐阜はリーグでも下位に位置するチームだったので、ここで勝ち星を挙げられないのは痛すぎる。
スタジアムにこだます激しいブーイング。
熱気は冷め、またぬるーい停滞に舞い戻る。
そもそも、ジェフはリーグ3位なのに勝つ試合に遭遇できないのはどういうことなのだろう?
まるで僕は勝てない試合をピンポイントで選んでいるかのようだ。
さおりんからメールがきたのはスパイラルまっただ中の9月の半ばだった。
3.雨のカシマスタジアム
国道51号線を南に進んでいると、突然目の前に巨大なスタジアムが現れて、ものすごく興奮した。
この日は10月19日。僕の誕生日の前日。
さおりんの誘いで、この茨城県立カシマサッカースタジアムに、今季J1屈指の好カード「鹿島アントラーズvs浦和レッズ」の試合を観にやってきた。
茨城県立カシマサッカースタジアムは、その時まで見た中で一番でかい、かっこいいスタジアムだった。
収容人数が4万人弱と、ジェフの本拠地フクダ電子アリーナの実に2倍以上。
この日はリーグ3位(レッズ)と4位(アントラーズ)の上位対決ということもあり、3万人を越える大観衆が詰めかけた。
これはこのスタジアムで今年一番の大入りなんだとか。
この日誘ってくれたさおりんは、昔からの鹿島ファン。
他にも熱狂的なコンサファンの岡Pと、サッカー観戦が好きなのりちゃんの四人で来た。全員大学のサークルの仲間だ。
その日は小雨も降っていて、風も冷たかった。
スタジアムのグルメ(スタグル)のもつ煮込みが身にしみる。
試合前、こんな会話をした。
僕が「どっちが勝ってもいい。いい勝負を見たい」なんて言ったのは、実はウソ。
試合内容じゃないんや!!試合結果が重要なんやーー!!
せっかくの誕生日の前日。
なんとしても応援しているチームの勝利の花火を打ち上げてやる!
変な発言をしてフラグを立てるような真似なんかするもんか!
いつも応援するとか言ったりするから負けるんだ。縁起やらゲンやらなんでも担いで勝つ側に立ってやる!!
そしていよいよ試合が始まった。
試合ははじめから激しい攻防戦になった。
ところが前半20分。
浦和レッズの4番那須が、コーナーキックを頭で合わせて先制。
Oh….
早くも暗雲が立ち込める。。
また負けるのかよ〜という気持ちが視界を覆い、目の前が真っ暗になる。
が!
しかし!!
まだ大丈夫!!!
まだ慌てる時間じゃない。そのために事前にいろいろ調べてきたんじゃい!
アントラーズはホームのカシマスタジアムで11勝して無敗だけれど、そのうち5勝は逆転勝利なのだ。
前半20分の先制?そんなの先制にはいるもんか!!
まだ時間が早いから、ずぇんずぇん大丈夫だろ!!
なんといっても鹿島には
あの日本代表の半端ない大迫勇也と、反則レベルの外国人ダヴィ!!
怪物二人がいるんだ!まだ逆転できるはず!!
逆転できるだろ!
できるよね?
おねがいします、逆転して下さい
これ以上負けたくないの(号泣)
ところが、ここから試合は変な方向に転がり出す。
突然、怪物ダヴィがキレだした。
なにに苛ついているのかわからないけれど、地面を叩いたり怒鳴ったりして、尋常じゃない怒り方だ。
そこに相手チームの森脇選手がやってきて、一触即発の事態に。。
ところが、これ、遠くから見ていたからよく分かんなかったんだけれど、
実は結構すごいことが起きていた。
下は実際の写真。
なっ!!
写真を見ても全然わからない!
どうしてこうなった!!
後半に入ってもダヴィのイライラは止まらない。
何か接触する度に両手を地面に叩きつけ、怒りを露わにする。
そしてとうとう….
もちろんイエローカードは2枚目で退場になる。
浦和相手に1点リードされている状態で一人退場になったら、勝てっこない!!
逆転なんて夢のまた夢!!
ところが、数分も経たないうちに、それはあっけなくやってきた
結局1−2で鹿島敗戦。鹿島にとって、今季初のホームでの敗戦だった。
(観戦記録は次がラスト)