悪の教典を読んだ

1.

今月はちょっと駆け足でいかんといろいろやばい。

 

2.

この間、貴志祐介の「悪の教典」を読んだんだけど、さすがに引いてしまった。

 

これはある高校の人気教師が実はサイコパスで、邪魔な教師や生徒を次々と殺していく話。僕は以前から貴志祐介が大好きだったこともあり、人気教師がサイコパスっていう設定が面白いなーと思って読み始めたんだけれど、読み終えてみて、なんとも言えない嫌な気分だけが残ってしまった。

序盤は心のない殺人鬼が学校で人気を獲得している様子が強い説得力をもって書かれていて、とても面白かった。でも、この教師が次第に暴走するにつれて、そのあまりの残虐さについていけなくなってしまう。やっぱり16〜17の高校生が殺されていくのを見るのは気分がいいものではない。

しかも、この高校生の描写がなかなか青臭くてリアル。ある男子生徒が「この危機を乗り越えたらあの子に告白するんだ」なんてホラー小説じゃ言ってはいけない言葉を発言したのに対して、女の子が「やめて!死亡フラグを立てないで!」と答えるところとか、いかにも現代っ子な会話でリアルだなあと思った。

でも、そんな生徒達が容赦なく惨殺されていく。読者である僕は、ただそれを為す術もなく傍観している気分になってしまい、とてもつらかった。早くこの本から脱出したいという一心で読み終えた感じだった。

貴志祐介の作品は今まで5作品ほど読んだんだけど、どれもこれもすごく怖くて、面白かった。特に「新世界より」は超傑作で、2回読んだけれど2回とも世界観に圧倒されて呆然としてしまった。

貴志祐介の作品は恐怖を煽る描写がすごくうまいと思う。彼がつくり上げる極限の恐怖の中で、主人公たちは震えながらも必死で知恵を働かせ、危機的状況をくぐり抜ける。そのくぐり抜けた時の快感が彼の真骨頂だと勝手に思ってる。

でも「悪の教典」では、それが弱かった。悪の圧倒的な強さにひれ伏さなければならず、打ちのめされてしまった。すごくマゾな作品だと思った。

11月には三池監督で映画化されるらしい。絶対見ないって言っているんだけど、多分見るんだろうな。見たくないけど。

 

3.

イラストは全然関係ないです。