そして南へ・・(ちょっと異常な週末その3)

もう四週間も前になってしまった、ちょっと異常な週末の最後の出来事のお話です。
7月22日(日)朝9時、俺はモモヨットを助手席に乗せて、雨の中、千葉の東にある白子町に向かった。
俺が運転している白い軽トラック(オートマ)の荷台には、ペットボトルでできたイカダのパーツが四つ載っていた。パーツは全部で六つ。残りの二つは、電車組がで茂原駅まで電車で運ぶという手はずになっていた(詳しくは前回の記事を参照。写真付き!)。
睡眠時間はたった30分だったが、俺のテンションはマックスボルテージ限界突破だったので、眠くなるわけも無い。目的の白南亀川(なまきがわ)は曇り空を反映してか鈍い色をしていたが、俺の胸は踊りまくり。いっこうに落ち着かない。うひょー!!
俺はモモヨットとイカダを川沿いに降ろすと、茂原駅に直行。残りのイカダのパーツを載せ、シンテロウを助手席に、荒谷さんを荷台に乗せて再び白南亀川をめざす。女の子を荷台に乗せてんだぜ!??まじ最高!!
ところが。そのとき、俺のケータイがなった。
俺は運転中だったのでとるわけもいかず、放っておいた。すると、今度はメールが連続で来た。シンテロウに見てもらうと、それは母からのメールだった。
「大至急連絡頂戴」
・・・・・
まるで暴走族の刺繍のような漢字七文字に、ただならぬ気配を感じ取った。なにかあったんだろうか・・・
俺は近くのコンビニに車を止め、母に電話した。母は、今にも消えてしまいそうな弱々しい声をしていた。
俺「なんかあったの?」
母「父さんが、今新潟に出張に行っているんだけど、気分が悪くて戻って来れないかもしれないって・・あんな苦しそうな声を初めて聞いて心配で心配で・・まさき、迎えにいってくれない?お願い」
まじ問答無用で、オッケー。当然。俺は二つ返事で快諾し、イカダを蹴ることにした。でも実際には..
ブラック俺「イヤーーイカダをけるのか?!!?」
ホワイト俺「バカ!!こんなの選択の余地無いだろあきらめろ!!」(←俺の中での会話)
親父の健康と、イカダレースを天秤にかけるブラックな俺の内部の声に自己嫌悪しながら、親父に電話し、直後に駅に向かって、外房線に飛び乗った。
親父は新幹線に乗っていたので、東京駅かその周辺でおち会うことになっていた。実際、総武線に乗っているとき、親父から浜松町(東京駅の近くの駅)で待っている、という連絡を受けた。
親父「モノレールの改札のところで座って待ってる」
いつも上裸で、「筋肉はいいぞー」といって筋トレしているマッチョな親父の声とはとても思えないような、弱々しい声だった。ありえねー。
待ってろ親父!!
俺は電車を降りるとすぐにモノレールの改札までダッシュした。
ちょうど俺が改札前についた頃、どっと人が改札内の階段の上から溢れ出てきて、視界が著しく悪化した。
おそらくどこかのベンチに座っているのだろう・・・と予想してあたりを見渡したが、どこにもベンチらしきものは無い。人ごみでごった返して良く見渡せないが、どこかに座っている親父の姿を見つけることはできなかった。
場所を間違えたのだろうか?
ところが。
人の波のピークが過ぎて視界が開けてきたとき、俺は見てしまった。向こうの柱の下の方に、汚い床に体育座りして、力なく頭を垂れている酔っぱらいのような中年の男性を。あれが、親父??
まるでホームレスのようだった。いつのも威厳あふれる親父とは、明らかに何かが違っていた。俺はこのとき初めて、ことの重大さを実感した。
親父「目眩がして、気分が悪い。新潟駅までは本当に吐きまくった。こんなことは初めてだ」
こんな弱々しい親父は初めてだよ。なんかのベタなドラマみたいだよ。よく『親を背負ったら意外に軽くて悲しくなった』的な話を聞くけど、まさにあんな気分になった。
しかし、それにしても、救急車で運ばなきゃ行けないような大事には至らなかったので、それだけはホッとした。モノレールに乗って羽田空港に行き、あいてるベンチに横になって寝かせると、だいぶ回復したようだった。間違っても、もう急にコロっと死ぬことは無いだろう・・。
俺はすっかり安心して、このことを母に電話。すると母も安心したようだった。ところが
母「明日暇だったら、お父さんを沖縄まで連れてきてほしい。お金は出すから」
まじっすか!!?
かくして、俺は、仲間が白子町で、必死でイカダをこいでいる間、一万キロ上空を、遥か南の島を目指して飛ぶことになったのです。
親父は結局一週間と少し入院することになった。そして、ストレスが原因だと判断されたため、今月中は仕事をいっさいしない、ということになった。いやー、でもホント良かった。
ホント親父や家族について、いろいろ考えたよ。ここには書かないけど(だって恥ずかしいし)。結論は家族は大切だってこと。家族は、俺の宝です(←ひゃー)。
沖縄の空は、ものすごく美しかったよ。本当に、いい一日になりました。
これで、夜中幻の中を彷徨って、片目に眼帯を着けたまま徹夜でイカダつくって、急に父が倒れて飛行機で沖縄に帰って、12時間ちょっとで千葉に戻ってきた、異常な週末の話は終わりですー。読んでくれてありがとうございます。
(ネタが溜まっているから、今後もどんどんでてくるよ!)


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