不運プラマイ・ゼロ

この前。超焦っているときに金がなくて、小雨のなかATMに突っ込んだ。しかし、なぜか京葉銀行のカードでお金がおろせなくて、郵貯に移動、そのままカードを突っ込み暗証番号を連打して、お金が出るのを待つ。
すると聞いたこともないような音が発生。画面に近くの受話器で電話してください、という表示が出る。


いままで見せたこともない表情をされた俺はおおいにビビって受話器を握る。すると、なんてことはなかった。原因はお札の紙づまりだった。あと三十分はお札は出せませんとのこと。そんなに待ったらバイトに遅れてしまう。なんてタイミング!!
こんな感じのちっこいかわいい不運が、最近やたらと多い。
すんごい小粒な不運の話
おとつい昭和記念公園で遊具まわりの身体支持具の調査に行ってきた。昭和記念公園は馬鹿みたいにドデかい公園で、歩けば一周一時間以上は絶対かかる。園内にはパークトレインも走っており、俺たちはそれに乗った。
で、あまりに暑くて、買ったばかりのペットボトルを飲んでいたら、俺が飲んでいたときのタイミングでなぜか電車(というなの長い車)がボンっと跳ね上がり、服にジョバジョバとお茶をこぼす。それが二回連続で起きたが、二回とも予測不能のイレギュラー。
他にも行ったときにATMがそこだけちょうど使えなかったり、ダッシュで駆け込んだトイレが掃除中で、別の場所を探すためにかけずり回ったり、ホントよくわかんね。俺が悪いってこともあるんだけど、とにかく気になりだすと、それだけ小粒が増えてくる気がする。
それでおとついの昭和記念公園の調査の帰り。俺はいつの間にか夜中の二時半になっていて、雨のなかを徒歩で帰った。あまりにも疲れすぎていた上に、家に帰ってからは、翌日の結婚式の準備もしなきゃいけなくなって気がめいっていた。だから、早く暑いシャワーでも浴びて一時的にでもホッとしたかった。
ところが、鍵穴に鍵を差し込むと、なぜか鍵が奥まで入らない。
あれ?おかしいぞ?
何度も鍵を差し込み直そうとしたが、鍵が入らないのだ。鍵が奥に入れない、ということは、鍵を開けることができない、ということ。
つまり、俺は家の中に入れない。
俺は雨のなか、愕然とした。結婚式の前日にこんなことが起きるなんて・・なんてタイミングなんだ。
仕方なかった俺は、雨に打たれながら歩いて学校まで戻った。そう、またチャリが使えないのだ(これは完全に俺のせい)。雨のなかとぼとぼ歩き、ここ数日の小粒の不運も、ここまで積み重なると気がめいってくるものだと漠然と思う。
しかも、だいたいの“不運”と呼んでいるものは、実は自分が陰で原因になっているものが多いと思う。
だいたいATMの件だって、普段からもっと節約しておけば必要ない出費だったし、トイレも無駄にあそこまで我慢していたから悪かったのだ。不運を呼び込んでいるのは俺なのだ。
そう考えると、軽く自己嫌悪になってきて、テンションががた落ちになった。
ところが、翌日レオパレスに電話して鍵を直してみると、その故障原因におれは驚いた。
それによると、普段から鍵を使っていることによって、鍵穴のなかの磁気を感知する装置(この鍵穴は特殊で、磁気に反応するらしい)が弱っていて、そこに前日の大雨の雨粒が入り、壊れたのだそうだ。
なんて確率!!!!
それがよりによって結婚式の前日に起きるなんて!すげーー!完全な不運ってやつだ!
しかし、この故障のからくり!!日頃弱っているところに、雨粒が入ってぶっ壊れただって!!?なんて美しいからくりなんだ!!
そうだ、無理に自己嫌悪しなくていいんだよ。お前はちっぽけな人間なんだから、自然の摂理にはかなわねーんだよ。気にしすることなんてないんだよ。
俺は完全復活した。憂鬱な気分はとっくにどこかにぶっ飛んでしまった。おれはこの不運な偶然に感謝した。
しかし、すごい偶然にハイテンションになりすぎて、結婚式会場に向う途中、降りる駅を寝過ごして、結局190円払えばすむところを1600円も払ってタクシーで向かうことに(俺のミス)。
自己嫌悪が再発したのはいうまでもない。