スターバックスのコーヒー講習会にて

 

1.

この間、作業をするために近所のスタバを訪れた。コーヒーを注文しようとカウンターの列に並んでいるとき、店内を見渡していたらあることに気がついて驚いた。ブラックエプロンが2人もいたのだ。

ブラックエプロン。

それはスターバックスの店員の中で、コーヒー豆について特別に詳しい人達のことだ。彼らは社内テストを受けて認定を受けるらしいのだが、普通の店員が緑色のエプロンをつけるのに対し、ブラックエプロンはその名の通り黒いエプロンを身に付ける。

僕がブラックエプロンのことを知ったのは、年末の12月29日に放送されたTBS特番『ヒーデル公爵』の仕事の時だった。

 

↑『ヒーデル公爵』で描いたブラックエプロンのイラスト

 

それは4日間で30枚近く描く大仕事だった。その中で、僕はブラックエプロンのイラストを数点描いたが、その存在と、12人に1人の割合しかいないことなどを知って、普段利用するお店の隠れた秘密を覗き見た気がしてわくわくしたものだった。

それが2人も店内にいることは、僕にとってちょっとした驚きだった。僕はぽかんと口を開けて、2人を眺めていた。

すると、そのうち一人の中年女性のブラックエプロンと目が合った。彼女は僕に近づいて、「コーヒー講習会に参加しませんか?30分程度の無料ですので」と聞いてきた。

僕はやらなきゃいけない仕事があったけれど、踊るミーハーな心を押さえつけられず、参加することにした。

 

2.

 

僕は6人がけのテーブルに付いた。僕は右端に座っていて、反対側には向かって右から中年女性が2人、中年男性が1人座っていた。

全員が席に付くと、ブラックエプロンがやってきて講習会が始まった。挽いたコーヒー豆の種類の説明や、粉末をプレス式でドリップする方法を、実演を混ぜながら説明した。

2分ほど蒸らす段階になり、ブラックエプロンは間を埋めるために「普段どのようにしてコーヒーを淹れますか?」と聞いて、中年男性を指名した。中年男性は「紙で淹れます」と答えた。次に僕が指名された。僕は普段インスタントしか飲まないけれど「紙で」と答えた。

すると、僕のちょうど正面に座る中年女性が、「私も基本紙です。」と言った。ところが、そこから先が長かった。

 

 

初めのうちはウンウンと頷きながら聞いていたが、だんだんめんどくさくなってきた。というのも、話が長く要領を得ないばかりでなく、ところどころコーヒーの専門用語や豆の種類みたいな言葉も混ぜてきて、知識をひけらかしているような印象があったのだ。

その時、ブラックエプロンが話をぶった切った。

「さあ、出来ました。このコーヒーは〇〇豆を使っていて、非常に味がマイルドで、チョコレートに合うんです」

そういいながら、コーヒーを小さい紙コップに注ぎ始めた。

 

すると、話をぶった切られたオバちゃんがまた口を開いた。

「味がマイルドなのはコーヒー豆の保存の仕方がいいからですか?」

「まあ、たしかに保存の仕方もありますが、一番は豆の種類でしょうね」

 

「そうなんですよね〜!たしかに保存も味に影響ありますよね!私そう思ってたんです」

なっ……豆の種類の話は完全無視!

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こんな強引な話の持って行き方を実際にみたのは初めてだった。初対面同士が集まるところで、こんな技を繰り出すのは只者じゃない。明らかに今まで何度もやっている百戦錬磨としか思えなかった。

ブラックエプロンも、参加者を無視するわけにはいかず、そのおばちゃんの質問や話に答えるが、司会をするのに慣れていないのか、どんどんおばちゃんに話しの主導権をもって行かれ話題を変えることができない。

さらに悪いことに、ブラックエプロンの丁寧な対応が、さらにおばちゃんを元気づかせ、どんどんハイテンションになって口を高速回転させる。もはや何らかのオーラが溢れ出るぐらいに上機嫌になって興奮していた。話したくて話したくてたまらないようだった。

このままでは場の空気が悪くなる一方だと思ったのか、ブラックエプロンは、おばさんの話が一区切りした瞬間、間髪いれずに「皆さんはどうして今回参加されたのですか?」と参加者に呼びかけた。

 

 

 

 

 

 

 

場面が一瞬テーブルが沈黙した。どんだけ興奮してるんだよ!

 

すると中年男性がちょいっと手を挙げた。ブラックエプロンはすかさずの男性を指名した。

中年男性が話しだした。とても素朴な声だった。

「実は、この店によく来ていてー・・」

 

その時、中年男性を見ていた僕の視界の端が、ものすごく激しく動くなにかを捉えた。おしゃべりな中年女性が、男性を見て、すごい笑顔でウンウン頷いているのだ。いや「ヴンヴン」と濁点で強調したほうがいいかもしれない。私は「超聞いてます!」と言わんばかりだ。いずれにしても非常にウザい。

 

「・・・知り合いになった店員の〇〇さんの紹介です」

おばさんが急に大きな声で割り込んできた。

「まあそうなんですか!!いいですわねえ!!」

 

 

講習会の時間はとっくに50分を超えている。

僕は仕事をしに来たはずだった。ちょろっとコーヒーの知識を得ようと思っただけで、こんなおばちゃんの話を聞きに来たはずではなかったのだ

 

更に言うと、この講習会が始まってすぐあたりから、トイレに行きたいと思っていた。ちょっとしたら行けるだとと思って我慢していたんだけど、尿意が波のように寄せたり引いたりしているうちに、満杯のダムのようになって我慢できなくなっていた。

僕はイライラと尿意に耐え難くなり、トイレに席を立とうとした。

 

 

ところが。その次におばちゃんの口から出た言葉が一変させた。

「実は私、年末の特番で、スターバックスの特集を見たんですよ。その中でブラックエプロンが出てきたんです」

 

 

 

 

 

 

 

えっ!それってもしかして、「ヒーデル公爵!?」

 

「それでなんかスターバックスの有名なバリスタが出てきて。クイズ形式のやつだったんですけど」

 

『ヒーデル公爵』も爆笑問題が司会のクイズ番組だった。これはいよいよ間違いない。

悲しいかな、あまり有名ではないイラストレーターにとって、自分のイラストに関係するものを見て影響を受けたという人を見ると、嬉しくて飛び上がりそうになるのだ。さらに、情けないことに、急に「ヒーデル公爵」という隠れた共通点を見つけたことにより、親しみさえ覚えるようになってしまった。

今や、さっきまで心を占めていたKYなおばちゃんという評価がぶっ飛び、悪い印象が空中に雲散霧消した。その代わり、好感度がロケット並に急上昇。

 

僕は興奮を必死で抑えながら、おばちゃんに聞いてみた。

 

「あの、その番組ってもしかして、『ヒーデル公爵』ってやつですよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ??

 

「そのブラックエプロンが特集されていたっていう」

 

「・・・いえ、違います」

 

僕は言うべき言葉を失った。

 

「いや、すいません、なんでもないです。」

 

 

なんだよ違うのかよ!!

テンション上がって損したよ!!!泣

 

 

最後までオバちゃんの独壇場で終わった。