月を見に行きたい

1.
今年の夏は計画停電は無いみたいだ。それはすごくいいことだと思うし無いに越したことないんだけど、個人的にはちょっぴり寂しい。西千葉の街が計画停電で真っ暗になって、月のあかりを頼りに近所を散策した去年の春の夜が忘れられないからだ。信号も消えるので車の交通がほとんど無くなり、時々通る電車の音以外は、街から音が消えてしまった。普段は光が漏れている家々の窓も暗い洞窟の入り口のようで、唯一の光源は上弦に近い不完全な形の月のみ。青白く冷たい光が街を包み込んでいた。その美しさといったら!

2.
今は電気が溢れかえっていて、どこもかしこも明るい。でも、町中が暗くなることって、それ自体に価値があると思う。月のあかりは、田舎に行けば体験できるだろう。でも、それを町中で見ると、今まで見たこともないような新しい世界が現れる。でもその価値と言っても、完全にアートとしての価値だ。実際にやっちゃうと経済損失が半端ないから無理って話になるんだろう。防犯の問題もあるのかもしれない。でも、せめて15夜の夜ぐらいは「町中を1時間だけ電気を消す」みたいなイベントがあってもいい気がする。純粋に名月を月のひかりだけで楽しみたいな。この間見たスーパームーンも、町中で見てもなんの感動もなかった。

3.
話変わって、沖縄の離島に旅行に行く事があるのならば、満月か新月の日がおすすめです。満月の夜は、とにかく月が明るくて美しい。浜辺でお酒を飲みながら、はるか向こうまで青白く輝く海を眺めるのは格別です。逆に新月は月が全くない日。辺りは闇に包まれるけれど、その代わりに信じられないほどの星が見られます。浜辺に寝そべって空を見上げていると、星の海に吸い込まれそうになりますぜ。
どっちの夜も本当に美しくて胸を打つはず。夜を島の居酒屋で過ごすなんてもったいなさすぎる!
描いていてまた月を見に行きたくなった。