泡盛について書かれた本のはなし

この間バーで飲んだら、バーカウンターの隅っこにお酒の漫画「レモンハート」が置かれていた。大学の時に読んだ大好きな漫画だったのですごく興奮した。
これは『BARレモンハート』のバーテンダーが、次々とやってくる個性的な客の要望に合わせてお酒を出す、という内容なんだけど、ひとつひとつのエピソードが地味で渋くて面白い。お酒にまつわるウンチクや、その背景にある物語が、様々な人間模様に彩りを添える。

僕もバーテンダーみたいにお酒の知識が欲しくなってきた。酒を皆で静かに飲んでいる時に、「このお酒は19世紀の貴婦人が〜、、、」的なウンチクをみんなの前で披露したい。それでお酒が楽しくなればいいもんな。あるいは、「口に広がる芳醇なかおり」「雨に濡れた猫のにおい」みたいな、独特の語句でお酒の味を表現したい。おしゃれでかっこいいじゃないか。

せっかくだから今後は買ってきたお酒の背景ぐらいは調べてみたい。でも、お酒と言っても広大なジャンルだ。そこで、たまたま家に泡盛があったので、今後は泡盛の豆知識でも少しづつ仕入れていくことにする。善は急げ、ということで、早速本屋で目に入った泡盛の本を買ってきた。

で、読んでみたんだけど。ちょっと、これ、なんか文章が適当だ。

例えば泡盛カタログなるページがあって、そこに書かれていた「久米仙ブラック」なる品種の説明を引用すると、
「味のアクセントは、まさに泡盛を飲んでいると感じさせます。飲みやすい甘口の味は古酒のマジシャン久米仙酒造ならではです。」
…なんだろう、このバカにされた感じ。こんなことをバーテンダーに言われたらガッカリどころじゃない。

ついでに、たまたま家にあった沖縄酒造協同組合の「南風(なんぷう)」という泡盛も調べてみることにした。蔵元が「組合」って時点であまり期待していなかった。載ってすらいないんじゃないかと思ったけど、探してみるとあった。
説明を読んでみる。

「一般公募で誕生した銘柄。爽やかに吹き抜ける南の風のような新酒です。」
本を引きちぎりそうになった。