恐怖の研究番外編?真夏の恐怖体験スペシャル第二夜?

さあ、今日も俺の(周りの)体験記を書くよ!
俺は、こういう霊体験に関してはとことん鈍感だ。例えば・・・・。
俺の実家の近くにある末吉公園の森は那覇市で唯一の残った自然の森で、熱帯系の植物が生えまくった、とても都市化した那覇市の一部とは思えない場所だ。時々ペットから野生化したインコが飛んでたりしいて、ホントに日本かよとか思ってしまう。
でもこの森の中には、今はつぶれた廃屋があったり、とても古い琉球王家の亀甲墓があったり、ユタがお祈りするような霊場があったり、何かどんよりとする不気味な場所であることは間違いない。一人で入ったりすると、森に体がどんどん飲み込まれていく気がするのは気のせいだろうか・・・?
で、この末吉の森を見渡せる位置に、那覇市立病院というでっかい病院がある。
この病院には俺の友人の母親が看護婦さんとして働いてるんだけど、その人曰く、あの森には近づくな、だそうだ。
その理由は毎年お盆に起きる患者の異変にあるんだって。
毎年お盆がちかづくと、窓から森が見える病室の患者が何かにおびえ始めるらしい。なんでそうおびえるのと聞くと・・・
「あたしが窓から森を見てると、森に無数の顔が見えて、それがあたしを呼ぶ」
という。
しかも、そういうひとが毎年必ず出ると言うから驚きだ。これは怖い。
夜入ったらどうなるんだろう・・。夜入るとたくさんの人がいて、それらが全部幽霊でしたなんてことがあったらまじびびる。
でもそれよりも遥かに怖いのは明らかにハブ。幽霊よりもまずそれに襲われるのが怖い俺としては、夏の森の中に入ることなどとんでもないことだった。
そんなビビリ症の俺が、なんと夜中の午前0時の森に入ったことがある。
それは高三の大晦日だった。俺と涼と裕一郎の三人が集まって、Z会が出してるセンター緑パックを解いていた。
結果はもう顔面蒼白もの。
これは他の二人も同じだった。
三人が考えたことはただ一つ・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・これは神頼みしかない!!!!
で、いちおう沖縄にも神社がある。一番有名なのは、波の上神宮と、北中城(?)にある成田山なんだけど、そんなところには行く気がしなかった。
そんな超有名なところにいくと、たくさんのお願いを聞かなきゃいけない神様が、俺たちのお願いを後回しにしてしまうんじゃないかとものすごく心配になったわけ(←馬鹿)。
むしろ誰もいない神社に行った方が、神様を独占できて願いが叶うかもしれない・・・・
そうなると、行き先は一つしかなかった。末吉の熱帯の森の奥深くに、ひっそりとたたずむ、誰も来ない神社、末吉宮である。
先の病院の話を知っていた俺は激しく恐怖していた。仲間をあと三人呼んだ俺達は、決死の覚悟で森の入り口に向かった。
森の入り口は、琉球石灰岩で出来た石積みの階段になっている。もちろん、階段の先は、闇。闇がビッグなマウスをあけて、その中に飲み込まれていくような感覚だった。その不気味さと言ったら・・・!
懐中電灯を持ってきた俺の友人が先頭にたち、残りの五人がその後ろに団子状態になってすすんだ。そのうち二人は既にビールを飲んでいて、恐怖を紛らわすためか、めちゃハイテンション。しかし、全員階段を登るスピードは、ナメクジのそれとあまり変わらなかった。
「もういい加減早く上がるよ!」
懐中電灯の友人が言った。
「お前が遅いからこんなに鈍いんだろ」
と突っ込みたがったが、こらえて足を速めた。
その瞬間
「うわああああああああ!!!!」
懐中電灯の友人が絶叫!俺も階段から落ちそうになり、裕一郎の眼鏡もずれた。
森の入り口に、つまり階段の一番上の段の闇の中に、赤い服を来た女の人が見えたようなきがしたからだ。それを4人ぐらい同時に見ているのだ!
「酔いがさめた!酔いがさめたぁぁぁぁああ!!!」
しかし、冷静に見てみると、それは赤い垂れ幕だった。でっかく『末吉宮』と書かれている。一応、こんなの昼間はなかったから。
そのせいで緊張が一気にほぐれて、俺たちは森の中にはいっていった。
で、俺は、恐怖を覚えると思いきや、逆に夜の森の美しさに圧倒された。
電灯も街灯もない森には光源なんて存在しない。だから全くの闇だと思っていたら、実はそうではなかった。
その日は曇りで、空は分厚い雲で覆われていた。で、驚いたことに、那覇市の街の光がその雲に反射されて、うっすらと森全体を照らしていたのだ。
あれあれ・・・なんか恐怖体験からかなりそれちゃったな・・・・
まあ、とにかく、あんまり森がきれいだったので、イエモンの『ブリリアント・ワールド』歌って帰ったとさ。
お祈りの結果は、裕一郎の千葉大合格のみで残りは全滅。
あ、幽霊見ませんでした。