恐竜博にバイトに行こう!その1 男の戦い編

今日、さとかちゃんがマイク・ベルナルドにTKO勝ちする夢で目が覚めた。
朝七時に西千葉駅でザッキーと合流。目指すは上野の国立科学博物館であります。バイトをするのです。初め友達からこの話を受けた時”具体的になにすんのかなー”って思ってたらデザ工のオクサンに”恐竜役じゃね?”って言われてビビってたんだけど、ふたを開けてみるとなんてことはない、ただの恐竜グッズ販売店員だった。
今朝のザッキーはトローンとしていた。聞いてみると昨日は別のバイトで三時にしかねれなかったらしい。つまり三時間睡眠。キツ?。
「これでレジとかやっちゃったら僕うまく対処できるかわからないよ」
「僕とマーシーのどちらかがレジやれって言われたらマーシーやってよ」
といって、やつは極端にレジにつく事をいやがってた。
もちろん俺だって嫌だ。しょっぱなからリスクのある仕事なんてしたくない。俺がやったってテンパってミスっておこられるのが目に見えまくりだ!しかも右耳聞こえんから聞き返すのも多くなるだろうし。いやいやいやいや、俺がレジなんてあり得ないっすよ!おお?ゴッドよ?!!俺をレジに振り分けないでくだされ!
すると現場について、俺はもの運び、ザッキーはレジって仕事が割り振られた!やった!ザッキーはへこんでる。わっしょいわっしょいだぜ!
俺は先輩から陳列されているものを整理して、足りなくなったものは補充してって言われた。俺はお易い御用だぜ!って気分で現場を軽快に歩きまくった。フンフンフ?ン、タオルもオッケー、Tシャツオッケー。これもオッケー、これも今は直す必要は無いな
・・・・
・・・・・・・・・・・・暇だ
そう、俺は暇だったのだ!何にもする事が無かった。次第に客が増えて来ても特に何もする事なく現場をうろちょろするだけ。
俺はサッキーの方を見た。ザッキーは笑顔でせっせせっせと客の商品を買い物袋に入れている。そのザッキーの姿・・なんてさわやかなんだ!まるで本当に仕事を楽しんでいますって感じだ。
これは俺も負けてはいられない。俺は床に落ちているレシートを全力でもぎ取った。拾えばいいだけなのに、その体の動作一つ一つにこだわったのだ。さあ、次。・・次が無い。
ザッキーの方を再び見ると、輝きすら放っているように見えた。
『落ち着け・・隣の芝は青いって言うだろ』
そう、俺はもっとでっかい事が出来るはずだ!あんな商品袋詰めな作業、猿でも出来るぜ!俺はバイトの身分であるにもかかわらず、この灰色の脳細胞をフルに生かし、愛と勇気でむしろクリエイティブ的な仕事をしてやろう・・それでスーパーバイトマンになるのだ!俺なら出来る!!
そんな俺の目の前に立ちはだかったのは、ビデオカメラで幼子を撮るロリコン中年(単に息子を撮っていたとも考えられる)。おれはそのカメラの前を横切って、極悪非道の悪事を妨害する事を試みた。くそっ・・・・何てかっこいいんだ俺!
はじめの一回目・・何故かものすごく緊張したがなんとか通過・・
二回目・・・・楽勝
三回目・・・ここで俺はさりげなくカメラ目線をおくる事にしようと思った。うおお・・何て怖いんだ。しかし俺は引かない!引かず!媚びず!省みず!!
その瞬間、俺は”あ、撮影してたんですか。邪魔しました”という目つきでカメラにちらっと目線をおくる事ができた!!やった!成功だ!!俺は・・俺は勝ったんだ!!やった!!バンザーイ!
・・・・・・・・・・なんだろ、この敗北感