2年前(小学四年生の時)・・・。
『あははは・・』
『またつれたよ』
二人はドブ川で釣りをしていた。
次第に夕暮れがあたりを包んでいく・・。
『きれいな夕焼けだね』
パイン君は言った。
『ほんと・・』
二人はうっとり。
(今だ・・、今がチャンス・・!)
『あの・・ぼく・・さあ』
『・・・ん・・なに・・?』
パイン君は決心した。
『・・・僕たち、結婚しよう!』
『え!!?』
パイン君は照れ笑いした。モモちゃんは青い顔をしている。
『・・ごめんなさい』
モモちゃんは走り出した。
『ちょ、ちょっとまってよ!』
『・・あたし、あなたを愛してる。でも、結婚はできないの!』
『どうしてだよ!なにが君をそうさせないんだ!』
『・・あたし、・・実は結婚しているの!』
『・・僕だって隠し子の一人はいるよー!』
『えっ!?』
あたりはいつの間にか大雨になっている。
『僕と君は同じ境遇なんだ!』
『違う!あたしの亭主は宇宙人なの!』
『ええ!?』
『そうよ、現に鼻の中に赤い発信器がはいっているし、目から破壊光線だって出るよ!』
その時、ビルの隙間から怪獣が現れた!
『ギャース!』ドスーンドスーン
『あ、あれは怪獣モジゲゾラ!』
通行人が叫んだ。怪獣はタマちゃんを巨大化したようなかなりかわいい系だ。
『変身!』
モモちゃんは巨大化してウルトラマンの女性版のようになり、その膨大な光のエネルギーを右腕に集中させ、愛くるしく振る舞うモジゲゾラに強烈な手刀を繰り出そうとする。
『ああ!モモちゃん!やめてくれ!!』
パイン君は号泣している!
嵐の中で怪獣と巨大モモちゃんが戦い、それを見上げながらパイン君は号泣している!!
でも、ついにモモちゃんは手刀を繰り出した!
ブシャアアアアアアアアアア!!!!!
戦いに破れて大けがを負ったモモちゃんは、そのまま何日も寝込んだ。自分とモモちゃんは結ばれないと悟ったパイン君はそのままあての無い旅に出たのであった・・
ー(あのとき、なんで通行人が怪獣の名を知ってたのかわからなくて夜も眠れなかったんだっけ・・)ー
パイン君は恥ずかしげに・・時には誇らしげに・・当時の事を思い出した。
ピーンポーン
(あ、モモちゃんだ!)
震災であたりが火の海に包まれる中、今日もパイン君のワクワクデーが始まるのでした・・・。
fin