ゴトゥという男の話

さっきまで缶蹴りとケイドロしてましたよ。
 ケイドロは高校のクラス会以来でマジで楽しかったがそれ以上に疲れた。隠れる場所がほとんどなくて大変だった。ずっと走りっ放し。そんな中、まるで”絶”でも使ったかのようにずーっと自然と一体化して、警察の目を欺いている男がいた。ゴトゥその人である。DLC(ダンスしているサークルね)が練習している隣でじーっと哲学者のように座っているのだ。
俺はゴトゥが走っている姿を見た事が無い。
おれは途中からゴトゥのそばに座り、寡黙な彼とおしゃべりする事を試みた。
俺「ゴトゥは走らないの?」
ゴ「俺は・・走るよ。・・むしろ早いよ」
俺「あ、そうなんだ。むかし何かやってたの?」
ゴ「・・うん、昔俺ね・・あ、関係ないからいいや」
俺「なんだよそれ?、教えろよ?」
ゴ「俺、昔剣道やってた」
俺「あ、本当に関係ないんだ」
 その後ケイドロで賭けをする事になった。十分逃げ切ったら警察が、逃げ切れなかったら泥棒がジュースをおごらなければならない。全員に緊張が走る!
 俺は追っ手の目を逃れ、かなり絶妙な場所に隠れた。ちょっと気付けば一発でばれる、心理的死角!ここに九分ぐらい隠れる事が出来たがナルミさんにあっさり見つかって捕まってしった。
どうやら俺が最後っぽく、もうお金を払わなきゃいけないのか・・と思っているとき、一人大事な人を忘れている事に皆が気がついた!
(動かないという意味で)重鎮、ゴトゥその人である!
次の瞬間、叫び声があがった。
「いたぞーー!」
皆がその方向を振り向いた!
俺は目を疑った。
走っている!走っているのだゴトゥが!
しかも逃げるために近くにあるコーンをズンタカに投げつけた! 
汚いぞ、ゴトゥーー!!
しかもものすごい勢いで地面に肩からこけた!
大丈夫か、ゴトゥーー!!
タイムは10分を十秒近く超えていた。俺たちはゴトゥに救われたのだ。
ありがとう、ゴトゥーー!!
俺は剣道をしているゴトゥに思いを馳せずにはいられなかった。